前のページ「変奏曲形式」に戻る
(素人による音楽形式談義・第8回)
3.その他の形式
C フ ー ガ 形 式
今回は「フーガ」です。
あーそう・・・
あれ? それだけ?
ふあああ・・・
いつものボケはどうしたの?
「猫のポーズ!」 「それはヨーガ」とか、
「ルークよ、フォースの暗黒面に気をつけるのぢゃ」 「それはヨーダ」とか、やろうよ〜。
やらないヨーダ。 なんかぁ、もう、かったるくって・・・・眠ぅ・・・。 zzz・・・
・・・(むぎゅっ)
ふがっ、ふがっ、ふーがーっ!! は、鼻と口を同時にふさぐなああっ! 死んだらどうするのっ!
と、いうわけでフーガのお話です。
なんつう強引なマクラだ・・・。
フーガっていうのは、いくつかの声部(パート)が、ひとつの主題をめぐって、
模倣したり、互いに追い掛け合いをするような感じに作られた音楽のこと。
「恋のフーガ」って歌があるわねえ、「追いかけ〜て、追いかけ〜て・・・」
・・・何歳よ、あんた。
えー、フーガはバロック時代に完成された形式で、古典派以降はソナタ形式にとってかわられて、すたれてしまうんだけど、
モーツァルトもベートーヴェンもブラームスも何曲かのフーガを書いているわ。
ソナタ形式の展開部のなかにフーガを組み込むこともあったりして、古典派以後でもけっこう重要な形式よ。
現代でも、作曲を勉強する人はフーガをトレーニングされるの。
フーガを作れるということは、対位法をマスターしていることを意味するのね。
長ゼリフごくろうさまです。 それで、どういう形式なのかな。 よくわからないんだけど。
基本的にひとつの主題が対位法的に展開される音楽で、各パートの入り方が決められているの。
4つのパートで作られることが多いわね。
まず、第1のパート(ソプラノ)が主題を演奏。
次に第2のパート(アルト)が主題を別の調(原則的に5度上の調:属調)で演奏(これを「応答」といいます)、ソプラノは対位法的にそれに絡む。
次に第3のパート(テノール)がもとの調で主題を出し、第4のパート(バス)が属調で応答。
こうしてすべてのパートが出揃い、あとは対位法的に絡み合いながら主題を展開してゆくわけね。
「フーガ形式」として決まっているのは各パートの入り方だけで、その後どう展開し、どう曲を終わらせるかは作曲家の自由よ。
ながながと説明してくれたのに悪いけど、イメージが浮かばない・・・。 はっきり言うと、さっぱりわからんぞーっ!
たしかにちょっと難しいわね。実際に聴いたほうが早いわ。 バッハの「小フーガ ト短調」。
J.S.バッハ/フーガ ト短調 BWV578(小フーガ)
文中のタイミング表示は、このCDによっています。
世界を代表するオルガニスト、マリー・クレール・アランによる、定番的な名演奏。
1000円でバッハの主なオルガン曲がまとめて聴ける、ザ・ベスト・オブ・バッハ・オルガンな一枚です。
Amazon.co.jp : トッカータとフーガ / バッハ : オルガン作品集
パイプオルガンの独奏で演奏されます。 まず、第1のパートが主題を提示。美しい、印象深いメロディでしょ。
気品のあるメロディね。 めずらしく敬虔な気持ちになれそう。
続いて0:22から第2のパートが同じメロディで入ってくるわよ。ただし属調であるニ短調に転調していて、第1のパートは高音域で対旋律を付ける。
この対旋律は全曲を通して主題とペアになって何度も現われるのよ。
なるほど、ふたつのメロディが同時に鳴ってる。 ひとつはさっきのメロディと同じだわ。
短い経過部があって、0:47から第3のパートがト短調で主題を演奏、曲は3声部となります。
そして1:06から、重低音の第4のパートの出番。これはニ短調。
これ、ひとりの人が弾いているの?
そうよ。両手が3つのパートを引き受けて(指は10本あるからね)、第4のパートは足(フットペダル)で演奏するのよ。
4つのパートが出揃うと、あとは4本の線がからみ合うように主題を展開していくわけね。
低音のパートが伴奏ってわけじゃないの?
基本的に各パートは対等と思ってほしいわね。 低音部に主題のメロディが出ることも多いし。
2:05には長調(変ロ長調)に転調するけど、そのうちまた短調に戻って、3:09には第1のパートに主題がハ短調で回帰、
4:01から第4のパートが主題をト短調(もとの調)で重々しく再現して、曲を閉じるわけ。
なるほど、しかしこの曲は主題の美しさでもってるわね。
展開というより、転調しながら主題を何度も繰り返していたって感じ。 魅力的な曲ね。
★ ★ ★ ★
バッハについて
ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685〜1750)は、バロック時代の最後を飾る巨匠で、膨大な数の作品を残しているわね。
名オルガニストでもあり、オルガン曲は250曲以上作っているの。
それは多作な人ね。
子供も、全部で20人以上つくったとか。
そっちも多作なのね〜。
「小フーガ」と呼ばれるこの曲は、1709年ごろの作品。 約4分の短さながら、美しく完成度の高い曲で、人気があるのよ。
バッハというと、気難しげな、顔の大きなおっさんっていうイメージがあるんだけど。
学校の音楽室に飾ってあるあの肖像画のせいかな。 でも事実、生前から理屈っぽい難しそうな音楽を作る人だと思われていたらしいわね。
確かに晩年の作品などは、一般受けを考えず、ただひたすら自分の信じる音楽を追求する、頑固職人みたいな味わいがあるわ。
それで生前にはあんまり人気がなかったの。
気の毒に・・・ でもそれが今や、バロック時代最大の作曲家と呼ばれているのね。
バロックどころか音楽史上最高の作曲家かも。
とっつきにくい曲もあるけど、この「小フーガ」みたいに聴きやすい曲も多いのよ。
ところで、さっき「BWVなんとか」って言ってたけど、 BWVって何のこと? BMWの親戚?
そうね、バッハは生前、BMWを愛用していたから、それにちなんで・・・なわけ、なかろーが!
わ、びっくりした。姉さんが唐突にノリツッコミをするなんて。
BWVは、ドイツ語の「バッハ作品番号(Bach Werke
Verzeichnis)」の頭文字で、
シュミーダーという人が1950年代にバッハの作品を整理して付けた番号なの。
モーツァルトのケッヘル番号みたいなものね。
そうだけど、ケッヘル番号が一応、作曲順の通し番号になっているのに対して、BWVは作曲順とは関係なくジャンル別に分類されているの。
1から200番台までが声楽曲。
オルガン、チェンバロ、リュート(ギターのような楽器)曲が500〜1000番まで。
室内楽・管弦楽曲が1001番以上ということになっているわ。
・・・(ようわからん) ま、単なる整理番号ってことで。
さて、次は「ソナタ形式」の復習をします → 次のページ「ソナタ形式の復習です」へ。
(05.10.27.)