ドビュッシー/管弦楽編曲作品集
(準・メルクル指揮 国立リヨン管弦楽団)



Amazon : ドビュッシー:管弦楽作品集第6集

Tower@jp : ドビュッシー/管弦楽作品集第6集

<曲目>
ベルガマスク組曲(クロエ&カプレ編曲)
小組曲、春(ビュッセル編曲)
白と黒で(ホロウェイ編曲)
交響曲ロ短調(フィーノ編曲)



親分:今年はクロード・ドビュッシー(1862〜1918)没後100年。 このあいだ「ソナタ集」のCDを聴いたよな。

ガラッ八:あー、あれ、地味で暗いアルバムでしたね〜。

親分:とんでもないこと言うやつだな!  世界中で50年以上聴かれ続けてる名盤だよ!
  ならば今回はちょっと派手というかカラフルなドビュッシー・アルバムを。
  ドビュッシーのピアノ曲を、他の人が管弦楽に編曲したものを集めた一枚。

ガラッ八:なるほどー、他の人が編曲ねえ。 いわゆる「他人の分度器で羽毛をとる」というやつですね。

親分:意味が分からんわ! さっぱりわからんわっ! お前の住んどる異世界では分度器で羽毛をとる儀式があるのかっ?

ガラッ八:まあまあ、細かいことは気にせず聴きましょうよ。

親分:うむ、まずは「ベルガマスク組曲」、前奏曲からムード・ミュージック風で、なかなか面白い。

 

ガラッ八:原曲とくらべるとユル〜イ感じというか、完全にライト・クラシックですな。 でも綺麗ですね。

親分:「こんなのドビュッシーじゃない!」と目くじら立てるよりも、「こういうのもありかな〜」と笑って楽しんだほうが吉だろう。
  アンドレ・カプレ編曲の「月の光」は、昔から親しまれている名アレンジ。

 (このCDの演奏ではありません)

ガラッ八:当たり前ですが原曲よりも色彩感たっぷりでスケール大きい! 「スーパームーン」でやんす!

親分:つづく「小組曲」はドビュッシーの友人アンリ・ビュッセル(1872〜1973)がドビュッシーの存命中に編曲した、作曲者公認の編曲。
  これも古くから親しまれている名編曲だ。

 (このCDの演奏ではありません)

ガラッ八:可愛らしくて洒落た組曲ですね、これ気にいりやした!
  親分の葬式にはエンドレスで流してさしあげますね。

親分:葬式が遊園地みたいになるからやめてくれ・・・って、勝手に俺を殺すなっ!
  つぎの「春」は、もとは2台のピアノと合唱のための作品で、ドビュッシー20代の若いころに書かれたもの。
  それを、1912年に50歳のドビュッシーみずからビュッセルに依頼して管弦楽に編曲した。
  「小組曲」の編曲がよほど気に入ったんだろうな。

 (このCDの演奏ではありません)

ガラッ八:うーん、いいですねー、ドビュッシーの管弦楽曲として立派に成り立っているでやんす。

親分:なおビュッセルは、ドビュッシーより10歳若い1872年生まれで、1973年(101歳)まで長生きした。
  パリ音楽院作曲科の教授を長く勤めたらしい。

ガラッ八:101歳! ドビュッシーの友達が大阪万博の後まで生きていたとは・・・不思議な感じがします〜。
  葬式では自分が編曲したドビュッシーを流したんですかねえ?

親分:知らねえよ、 いいかげんに葬式から離れろっ! 縁起でもねえやつだぜ。

ガラッ八:ところでこのCD、最後に気になる曲が。
  「交響曲」・・・? ドビュッシーは交響曲を書いてるんで?

親分:1880年、18歳のドビュッシーが書いた、ピアノ連弾用の「交響曲」だ。
  本人はそのうちオーケストレーションしようと思っていたのかもしれんが、結局そのままになってしまった。
  原曲のピアノ連弾版はこれだ。

 

ガラッ八:これまた可愛らしい曲でやんす。

親分:やはり10代のドビュッシーが書いた名曲「ピアノ三重奏曲」に似た雰囲気だな。
  古典的だが適度にロマンティックというか、とにかくセンスがいい、さすがは天才ドビュッシー。
  で、これをトニー・フィーノという現代の作曲家がオーケストレーションしたのが、本CDに収められた演奏。

 

ガラッ八:映画のサントラみたいな感じですが、綺麗で楽しく聴けますねえ。

親分:うむ、面白い切り口のドビュッシー・アルバムだった。

(2018.12.12.9)


その他の「ドビュッシー」の記事
ドビュッシー/3つのソナタ 神聖な舞曲と世俗的な舞曲
ドビュッシー/ピアノ三重奏曲
ドビュッシー/ピアノ独奏曲集成(安川加寿子)
ドビュッシー・リサイタル(田中希代子)


「音楽の感想小屋」へ

「更新履歴」へ

HOMEへ