親分:クワッ、クワッ、クワッ・・・・・
ガラッ八:てえへんだてえへんだ、親分がアヒルになっちまった!
親分:クワッ、クワッ、クワコーが帰ってきたっ!
ガラッ八:なんすかそのクワコーってのは。
親分:奥泉光「モーダルな事象〜桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活」(2005)で情けないデビューを飾った
サイテー大学教員・桑潟幸一が、ダメっぷりに磨きをかけて帰ってきたんだよっ!!
ガラッ八:なんか嬉しそうですよ親分。
親分:新作のタイトルは「桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活」!
・・・・・って、ほとんど変わらねえな。
ガラッ八:「助教授」が「准教授」になってるところがポイントでやんすね。
2007年(平成19年)4月1日施行の「学校教育法の一部を改正する法律」により
「助教授」の職階が廃止され、「准教授」が置かれることになったことを踏まえているんでやんす。
親分:どうでもいいことに妙に詳しい野郎だな。
ガラッ八:で、どういう小説なんで。
親分:とにかくダメダメ准教授・クワコーの爽やかなダメ男ぶりにホレボレ!
プライドは根こそぎ失われて久しく、野心も向上心もなく、ちっぽけな虚栄心を後生大事に抱えながら、
その日暮らしの気安さに甘んじて無為の日々を送るわれらが主人公。
ガラッ八:で、でも、大学の准教授なんでしょう?
親分:前作「モーダルな事象」以上に、大学のセンセイというものに対する幻想を打ち砕いてくれるよこれは。
戯画化されているのだと信じたいが・・・・ホントはどうなのかなあ。
ガラッ八:森博嗣の小説に出てくる大学の先生は、無茶苦茶に頭良さそうですけどねえ。
親分:そんなクワコーが、セコくてしょぼい怪事件に巻き込まれ、
彼が顧問を務める文芸部の女子たちが絶妙のチームワークで解決する、という短編集だ。
ガラッ八:クワコーが解決するわけじゃないんですね。
親分:クワコーは事件にあわてふためき、ついにはいじけてメソメソ泣きじゃくるだけなのだ、どうだっ!
ガラッ八:なに威張ってんですか、それにしても情けない野郎ですね。
親分:文芸部女子部員たちは、クワコーから見ればほとんど「へんないきもの」レベル。
クワコーの研究室は瞬速で乗っ取られ、彼女たちのたまり場・物置き・着替え室と化す。
もちろん着替え中にはクワコーは追い出される。
そして彼女たちのの腐女子トークがまたハイレベル。
大学の先生でもある奥泉光さん、めいっぱい楽しんで書いてるな。
俺には3割くらい意味不明で、外国語の会話を聴いてる気分だった。
ガラッ八:クワコー、気の毒でやんす・・・それで、面白かったんですかい?
親分:サイコーに面白かったよ!!
笑えるミステリとしては、最近本屋大賞1位を取った某ベストセラーの10倍くらい笑ったんですけどワタシ。
芥川賞作家にして「シューマンの指」書いたのと同じ人とは思えん!
ガラッ八:それでミステリとしてはどうなんですかい。
親分:正直、ミステリとしてのレベルは、ゴニョゴニョ・・・・なので、あまり期待せんように。
ガラッ八:ということは、親分も読んでる途中で真相がわかっちゃったとか。
親分:・・・・・・い、いやあ・・・さすがにそういうワケには・・・。
ガラッ八:なんともはや、この程度の真相が見抜けないとは、失礼ながら親分はアホでいらっしゃいますか。
親分:ほっといてくれ!
(2011.11.27.)