ビーバー/技巧的で楽しい合奏音楽
(演奏:ムジカ・アンティクヮ・ケルン)
(Archiv UCCA 1039/40・ 国内盤)



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去る2004年は、マルカントワーヌ・シャルパンティエと、ハインリヒ・イグナツ・フランツ・フォン・ビーバーの二人そろって没後300年という、
前期バロック音楽に興味のない人にとってはどうでも良い年でございました。
このCDは、ビーバーのメモリアル・イヤーを記念してリリースされたもので、日本でも「2004年 レコード・アカデミー賞・古楽部門」を受賞しました。
だからと言ってベストセラーになっているという話は当然ながら聞きませんが。

ビーバーは、17世紀に活躍した「ヴァイオリンおたく」の作曲家。
もし20世紀に生まれていたなら、長髪をなびかせてベルボトムのジーンズをはいたギター野郎になっていたのでは。
目立ちたがりで、ヴァイオリン音楽において革新的なことをいろいろやらかした人です。

「技巧的で楽しい合奏音楽」 (Harmonia artificioso-ariosa)は、基本的に2つのヴァイオリンと通奏低音のための組曲集。

しかし、さすがはビーバー、ただの組曲ではなく、「スコルダトゥーラ」を自在に駆使しています。
「スコルダトゥーラ」というのは、ヴァイオリンの調弦を変えることで、
通常はE−A−D−Gなのを、曲によって、たとえばA−E−A−Dにするように指定されています。
これにより、普通の調弦では演奏できないような難フレーズが弾けるんだとか。
うーむ、オタクですねえ。

 パルティータ第1番 ジーグ (沸き立つような活気あるジーグ)
 

とは言え、素人が聴いても、調弦なんて全くわかりません。
曲自体はタイトルのとおり楽しいものが多いので、気楽に聴き流すのみ。
この「技巧的で楽しい合奏音楽」、一番楽しいのはおそらく演奏している人たち自身。
リーダーのラインハルト・ゲーベルはライナーノートに、この曲を録音することは30年来の念願であったようなことを書いていて、とても楽しそうに演奏しています。
聴くほうはその楽しさのおすそわけにあずかっている、という感じですね。

  (静かで落ち着いた曲だなあと思って聴きはじめると・・・)
 

メジャー・レーベルの国内盤新譜でありながら、2枚組3000円は、なかなか良心的。

 パルティータ第5番 バレット (短調だがたくましく元気のある舞曲)
 


(05.2.11.記)


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