フィリップ・グラス/ヴァイオリン協奏曲
アルフレード・シュニトケ/合奏協奏曲第5番

(ギドン・クレーメル:ヴァイオリン、 クリストフ・フォン・ドホナーニ指揮 ウィーン・フィル)



Tower@jp : グラス: ヴァイオリン協奏曲; シュニトケ: 合奏協奏曲第5番


梅雨であります。
今年の梅雨はよく降ります。
先日は雨音がうるさくて夜中に目が覚めたほど。

じつは私の住む四国は、例年カラ梅雨のことが多くて、夏はしょっちゅう水不足。
住民がひびわれた地面を這いずって

 「水、水をくれえ〜」

と、のたうちまわるのが夏の風物詩となって久しいですが(←嘘)
今年はどうやら水は充分みたいですね。
むしろ水害が心配。


さて、何年か前に「梅雨時にふさわしいクラシック」ということで取り上げた
フィリップ・グラス「ヴァイオリン協奏曲」
あのときはナクソス・レーベルアデーレ・アンソニー独奏の録音でした。

このたび、クレーメル独奏/ドホナーニ指揮の名盤が、タワーレコードからお安く再発されました。
カップリングはシュニトケ「合奏協奏曲第5番」

よく見ると、オケが・・・。
なんとまあ、ウィーン・フィルなんですね。
現代音楽も演奏するんですね・・・と思ったけど、そういえばウィーン・モデルン」なんて活動もやってたよなあ。


さて、グラス「ヴァイオリン協奏曲」は・・・、やっぱりいいなあ、これ好きだなあ。
ロマンティック・ミニマルというのでしょうか、執拗な分散和音の反復は適度に湿度を伴い、耳をやさしく癒してくれます。
ここでのクレーメルは、作品を自分にグイと引き寄せ才気のおもむくままに音をほとばしらせたりはしません。
モノトーンで抒情的な響きに静かに寄り添いながら、深い共感もビンビン伝わってくる知的なアプローチ。

 第1楽章
 

夢見ごこちでメランコリック、しっとりソフィスティケイテッドされた素敵な音楽であります。
そしてやっぱり梅雨にはよく合います


くらべるとアルフレード・シュニトケ「合奏協奏曲第5番」は、かなり現代音楽ぽい。
不安定に彷徨するソロ・ヴァイオリンにハープシコードがからみ、やがて全管弦楽が始動。
ソロ・ヴァイオリンはほとんど出ずっぱり。
よほど言いたいことがたくさんあるのでしょうか、ザラリと感性を刺激する不協和音ですごんでみたり、突如エモーショナルになって歌い上げたり、
ときにクールでしなやかなフレーズに流れ着いたりと、もう大忙し。
全曲ビンビンに緊張感みなぎる力作ですが、ヴァイオリンによる恨み節一代記を聴かされたみたいで少々疲れます。

 第2楽章 (何やら決然とした調子が力強い楽章)
 

やっぱりシュニトケの合奏協奏曲では、第1番第2番、第3番が、余裕とパロディ精神が感じられて好きだなあ。

(11.6.13.)


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