Isobel Campbell & Mark Lanegan/Ballad of the Broken Seas
(2006)




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ベル&セバスチャンの「ささやき歌姫」イザベル・キャンベル
ずっと以前に、"Time Is Just the Same""Swansong for You"(The Gentle Waves名義)をご紹介したことがあります。

蚊の鳴くようなささやきヴォーカル。
極限まで息をケチる、独特なヴォーカルスタイルです。
肺活量いくらなんでしょう。
でも、道に迷った妖精のようなエンジェル・ヴォイスには 、唯一無二の存在感があります。

 Ballad of the Broken Seas (2006)

これは、マーク・ラネガンという男性ヴォーカリストとのデュオ・アルバム。
イザベルのささやき声も印象的ですが、マークの低音でボソボソつぶやくようなしわがれ声も強烈。
やはり良くも悪くも一度聴いたら忘れられない声です。

このアルバム、以前買ったときは「地味・・・」と思い、そのまましまいこんでいたのですが、なにげなく聴きなおすと、おお、渋くて良いですねえ。
二人の声のバランス、絶妙です。
音で聴く「美女と野獣」と呼びたい。

 

ジェーン・バーキンとセルジュ・ゲインスブールを連想しますが、エロティックではなくてむしろストイック。
ふわふわしたイザベルの声を、マークの低音が錨のように地上につなぎとめているというか、
還るべき母港を見定めた妖精が安心して遊び戯れているように聴こえます。

曲はアコースティックでスローなブルース&バラードが主で、ノリの良い曲・ポップな曲はありません。
これまでのイザベルのソロ作とは肌合いが違うので、マーク・ラネガンの作曲なのかと思ったら意外や意外、
ほとんどの曲はイザベルが書いてるんだそう。
マークのスタイルに合わせて作曲したんですね、才女だなあ。

 

地味といえばこれほど地味なアルバムもないですが、大変味わい深い逸品です。
このコンビ、すっかり意気投合して、その後さらに2枚のアルバムをリリースしています。

(2015.02.15.)


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