ハロルド・バッド/ la bella vista
(2003)
やあ、こんにちは。
わたし、環境音楽です。
「積極的に聴取されるのではなく、聞き手を取り巻く環境のひとつとなるべく」創られた音楽です。
音楽なのに、積極的に聴かれてはいけないなんて、 われながら因果というか逆説的な存在だと思いますね。
音楽仲間のなかで、ちょっと肩身が狭いです。
そうかと思えば、「環境用語」仲間のうちでもやや微妙な立場でしてね、わたし。
「環境」がつく言葉といえば、「環境ホルモン」「環境保全」「環境破壊」など、攻撃的・行動的な言葉が多いんですよね。
わたしなんか、完全なノンポリというか、何も考えていませんから、
こないだも仲間内で、
「キミも『環境』を名乗るのであれば、地球温暖化についてどのような見解を持つのか明らかにしたまえ」
なんて言われまして。
「寒いの苦手なんで、暖かいほうがいいですう〜」
なんて言ったら殴られそうになりましたよ。
ああ、ストレスたまる。。。
環境音楽でも聴いてまったりしましょう。
さて、環境音楽界の巨匠と言えば、ハロルド・バッド Harold Budd(1936〜2020)。
1980年に、ブライアン・イーノとのコラボレーションで"The Plateaux of Mirror"(鏡面界)という名作を発表しましたが、
その後もコンスタントに環境音楽ばかり製作しつづけています。
"la bella vista"は、そんな彼のありそうであんまりないピアノ・ソロ・アルバム。
究極的にシンプルな音楽ですが、豊かな広がりを感じさせます。
一切の情緒・感情を排した音楽であるようで、なぜかロマンティックで暖かいその世界。
Bell Tower (静かだ・・・)
The Rose (静かだ・・・)
このアルバムは10曲からなり、すべてゆるやか、残響の多い録音。
メロディらしいメロディもありませんが、ひたすら気持ちよく聴き流せてしまいます。
まるで日向ぼっこをしているような気分、もうアルファ波がダダ漏れでございます。
Other Flowers (静かだ・・・)
(08.1.10.)
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