グラジナ・バツェヴィチ/ヴァイオリン協奏曲集 (Vol.1&2)
(Joanna Kurkowicz 独奏 Lukasz Borowicz 指揮 ポーランド放送交響楽団)

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練習中のバッハ/無伴奏チェロ組曲第5番・アルマンド
やっぱり超絶地味な曲です〜、しかも暗い〜。
どうにもモチベーション上がらないので、とりあえず終了ってことにして(おいおい)次のクーラントへ。
この週末はクーラントの譜読みです。

 

リズミックでかっこいい曲ですが、じゅ、重音の嵐だ・・・。
単音でも音程怪しいのに、重音となるともう崩壊・壊滅・死屍累々、全然曲になりません。

 「隊長、重音です! 重音の大群が押し寄せてきます!」
 「ひるむな! 持ちこたえろ! なんとか持ちこたえるんだ!!」
 「む、無理です〜、うわあ〜!」

またしてもわが軍は全滅したようです。
1日に何度も壊滅しています。
地道に練習して何度でも挑むしかありません・・・。

いまのところ私が弾くと、不協和音の連続する現代音楽に聴こえます。
しかも弾くたびに違う曲になります、凄いでしょ(←凄くない)。


さて、現代音楽といえば以前から気になってるのがポーランドの現代作曲家、グラジナ・バツェヴィチ(1909〜1969)。


              


これまでにクリスティアン・ツィンマーマンによる室内楽作品集弦楽のための作品集などをご紹介しました。
それにしても美人さんですね〜(←結局そこかい)。
イングリット・バーグマンによく似てると思うんですが。
このかた、20世紀ポーランドを代表する大作曲家のひとり。
パリでナディア・ブーランジェに作曲を師事しています。
自作の「ピアノ・ソナタ第2番」(名曲!)を自分で初演するほどのピアニストであると同時にヴァイオリニストとしても一流であり、
ポーランド放送交響楽団のコンサート・ミストレスも務めました。

プロのヴァイオリニストだけあって、7曲ものヴァイオリン協奏曲を残しています。
20世紀の作曲家としては異例の多さ。
この2枚のCDで、第6番以外の6曲を聴くことができます。
7曲の作曲年代は1937年から1965年までとほぼ30年にわたり、作風の変遷がよくわかります。

第1番(1937)はバルトークプロコフィエフを足して2で割ってラヴェルをふりかけたようなコンパクトで洒落た曲。
無窮動風な活発さと、抒情的な歌のバランスが絶妙です。

 第1楽章
 

第2番(1945)は30分を超える堂々たる曲。
ラヴェル風またはプーランク風無窮動ではじまる活発な第1楽章。
都会的で洗練された感じで、とてもファッショナブルですが、ソロ・ヴァイオリンはほぼ休みなく演奏し続け大変そう。
でも楽しい曲。
第2楽章は一転ロマンティックな音楽。 静かで抒情的な夜の歌です。
第3楽章はまた6/8拍子の無窮動、こういうの好きなんですねこの人。

 第2楽章
 

第3番(1948)では、民謡風なメロディも聴かれるものの、より自由で自在。
形式も不定で、半音階的進行、不協和音など、前衛的な要素が見え隠れしますが、基本はロマンティック。
民族的で抒情的でちょっぴり刺激的、シマノフスキのような雰囲気が濃厚です。
バツェヴィチはワルシャワ音楽院でシマノフスキに師事した時期があり、彼のヴァイオリン協奏曲をよく演奏したとか。

 第1楽章
 

その後バツェヴィチは、ルトスワフスキ、ベイルドなど前衛的作曲家との交流の中で、次第にアヴァンギャルドな作風に転換してゆきます。

最後の第7番(1965)は完全に無調で書かれた傑作。
無調といっても聴きづらくはなく、洗練され優雅ですらあります。
そう、バツェヴィチの音楽はどこか品があって流麗、そして軽やかなのです。
社会情勢や自己の苦悩を作品に反映することを潔しとせず、音を楽しみ音と戯れることを優先した人だったのでしょうか。

 第1楽章
 

ポーランドの演奏家たちによる、作曲者への共感溢れる演奏でどうぞ。
かつてバツェヴィチ自身がコンサート・ミストレスを務めたポーランド放送交響楽団、というのがポイント高いです。

(2015.06.21.)


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やっぱりよく似てる!
グラジナ・バツェヴィチ イングリット・バーグマン

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