ベルゴレージ/聖母マリアの夕べの祈り
(マルコム・ブルーノによる再構成)
エドワード・ヒギンボトム指揮/Academy of Ancient Music
(ERATO 0927-46684-2、2枚組)
Amazon.co.jp : ペルゴレージ:聖母マリアの夕べの祈り
Amazon.co.jp : Pergolesi/Vespers
Tower@jp : Pergolesi: Marian Vespers
またまた、思いっきりマイナーなディスクを紹介してしまって、すみません。
ジョヴァンニ・バッティスタ・ペルゴレージ(1710〜1736)は、
「スターバト・マーテル」で有名な、イタリア・バロック期の天才作曲家。
結核のためわずか26歳で死んでしまった、悲劇の人でもあります。
「聖母マリアの夕べの祈り」とは、カトリック教会で、聖母マリアの祝日の夜に行われるミサのこと。
このミサのための音楽としては、モンテヴェルディ(1567〜1643)という大作曲家の名曲があります。
さて、ちょっとクラシックに詳しい人なら、
「え、ペルゴレージに『聖母マリアの夕べの祈り』なんてあったっけ??」
と、不思議に思うのでは。
そう思ったあなたはスルドいっす!
じつはペルゴレージは「夕べの祈り」のための音楽は、まとまった形では残していません。
ただ、1732年にナポリで行われた「夕べの祈り」に、ペルゴレージの曲が使われたという記録があることから、
彼の作品を再構成して、「夕べの祈り」の音楽としてまとめあげたのが、このCDです。
それにしても、「聖母マリアの夕べの祈り」という言葉の響き、とても美しいですね。
私はキリスト教徒ではありませんが、このタイトル、それだけで短い詩のようだと思ってしまいます。
さて、内容ですが、あの悲劇的な「スターバト・マーテル」のイメージで聴きはじめると、「あれ?」と思います。
しょっぱなから躍動感あふれる、元気いっぱいな音楽。
初期のあまり知られていない声楽曲が使われているそうです。
つづくソプラノのアリアでは、流れるような美しいメロディに魅了されます。
マニフィカトより
CD2枚分、ひたすらきれいで優雅な音楽のてんこ盛り、どの歌もオペラのアリアのようで、
宗教音楽ということを気にせず聴けてしまいます。
ペルゴレージという人、自然に美しいメロディが湧き出てくる体質(どんなんや)だったとしか思えません。
声楽曲の合間には、ヴァイオリン・ソナタ、チェロ・ソナタなど器楽曲も挿入され、
後半には晩年の名作「サルヴァ・レジナ」が使われるので、
このCDで初期から後期まで、ペルゴレージの音楽の全体像が把握できます。
サルヴァ・レジナより
彼の「スターバト・マーテル」が好きな方なら、聴いてまず損はないですが、
一般の声楽曲ファン、クラシック・ファンの方々にも、幅広く・力強く、おすすめしたいCDです。
(03.4.13.記)
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