みなさまは、周りの人からどのような性格だと思われていますか?
え、私ですか?
私は自分で言うのもなんですが温和で温厚、かつ無口。
日ごろから「人畜無害」 「毒にも薬にもならない」 「いいお友達でいましょう」と
数々の賞賛を浴び、リンダ困っちゃうであります(←古い)。
ところで作曲家という人種は、けっこうエキセントリックな人が多いんですね。
バッハも意外と喧嘩っ早かったし、ベートーヴェンのかんしゃくもちは有名です。
しかし、音楽史上で最高のかんしゃくもちと言えばこの人、
フランチェスコ・マリア・ヴェラチーニ(1690〜1768)でしょう。
もともと高慢で野心家で自己顕示欲が強く、激しい性格の持ち主。
1722年に、劇場でオペラ歌手や演奏家と口論になったときには、激高のあまり三階席の窓から飛び降りてしまいます。
以後、ヴェラチーニは一生足を引きずって歩く羽目になってしまったとか。
打ち所が悪かったら死んでたかもしれません。
ただし、ヴァイオリニストとしての腕は超一級だったようです。
2歳年下のタルティーニは、初めてヴェラチーニの演奏を聴いたとき、あまりの凄さに茫然自失。
妻を置き去りにしたまま半狂乱で自宅に帰り、部屋にこもって練習に明け暮れたと言います(奥さん怒っただろうな)。
勇気ありますねタルティーニ、我が家だったらぜったい無事ではすみません。
ヴェラチーニの「序曲集」は、奔放で活気に満ちた管弦楽組曲集。
作曲者の性格と関係があるのかどうか、なかなかエキセントリックで刺激的な曲です。
第1番 (派手で華麗だ・・・)
とくに第6番のデモーニッシュなまでの激しさは、きわだって印象的。
ハイドンの疾風怒濤期の作品を予告するかのような先鋭的な音楽です。
第6番 第1楽章
第4楽章 メヌエット (なんか怒ってるの? と言いたくなる強面のメヌエット)
ゲーベル指揮/ムジカ・アンティクワ・ケルンの、推進力全開のアグレッシブな演奏は、
隈取りをして大見得を切ってるようなオーバーアクションな感じが無きにしもあらずですが、濃厚な表現が素晴らしいです。
このCDは十数年前にアルヒーフ・レーベルから発売され、ヴェラチーニという作曲家に一般の音楽ファンが注目するきっかけとなった一枚。
ながらく廃盤状態でしたが、このたびブリリアント・クラシックスから1000円を切る値段で発売されたのはめでたいことです。
(09.9.22.)
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