ビル・エヴァンズ/YOU MUST BELIEVE IN SPRING (1977)


Amazon.co.jp : You Must Believe in Spring [Bonus Tracks]

Tower@jp : You Must Believe in Spring


ビル・エヴァンズのトリオ作といえば、「Portrait in Jazz」「Waltz for Debby」などが有名ですが、
私が一番お気に入りなのは晩年の傑作"You Must Beleve in Spring"
1977年に録音されながら、なかなか発売されず、なぜかエヴァンズの死の直後(1980年)に、遺作として発表された作品です。
超絶的に美しいアルバムなのですが・・・。
やはり全体を覆う暗い死の影のためでしょうか。

1曲目「B Minor Waltz」は、1973年に自殺した妻・エレインに捧げた曲。
4曲目「We Will Meet Again」は兄・ハリーに捧げられていますが、彼もまたこのアルバム録音後間もなく拳銃自殺。
おまけに8曲目「M*A*S*Hのテーマ」には、「Suicide Is Painless」というサブタイトルが。

しかしこのピアノの美しさはどうでしょう。
悲しみを昇華した透き通る音で、叙情的かつ耽美な演奏が連綿と。
ただ、押し付けがましいところは全然ないので、
ボーッとしていると曲が変わったことにも気づかないうちに聴き終わってしまいます。
これほど透徹した美しさを持つジャズ・アルバムも珍しいのではないかと思うのです。
そしてここでのエヴァンズは、ただ哀しい寂しいと嘆いているだけではなく、
「いつか春が巡ってくることを信じて」希望を失っていない、そんなところも魅力。
でもこのCDを浪人生にプレゼントしたりするのは悪趣味だと思いますよ。

 You Must Believe in Spring
 

本作のCD、十数年前に2800円で買ったのですが、このたびアマゾンで検索してみると、ボーナストラックが3曲ついて1100円!
なんというか・・・安くなっているのですねえ、CDって。
3曲のボーナストラックがとても気になります。 アルバム全体の雰囲気を壊していないかどうか。
うーん、買おうかなあ・・・。

(05.7.2.記)


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