Bill Evans / The Paris Concert (Edition one & two) (1979)
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ガラッ八:親分こんちは〜。 もうすっかり秋でやんすねえ。
親分:おう、八かい。 まったく急に寒くなりやがっていけねえや。
八:ところで、秋らしい音楽ってことで、こんなCDどうですか。
ビル・エヴァンズの「パリ・コンサート(T&U)」、アマゾンでどちらも980円でしたぜ(期間限定?)。
親:な、なにい〜! この名盤が各980円!?
八:おお〜う、やっぱり名盤でやんしたか。
親:いまだ人気の衰えないジャズ・ピアノの巨匠 ビル・エヴァンズ、死の前年の、トリオによるライヴだ。
俺はジャズはあんまり詳しくないんだが、ビル・エヴァンズは好きで何枚か持ってるよ。
エヴァンズといえば、なんといっても繊細なリリシズムが持ち味。
八:はあ、シリリズムですか。
親:そう、お尻を左右に振ってワンツーワンツー・・・違うわあっ!
「尻リズム」じゃなくて「リリシズム」! 叙情! 叙情的なジャズだよっ!! きいーっ!
八:まあまあ親分、そう興奮せずに。 まずは聴いてみやしょう。
親:誰が興奮させとるんじゃー!! うがーっ!
ともかく Edition One。 いきなりスロー・バラードが3曲続く。
「いかにもビル・エヴァンズらしいな〜」と安心して聴いてると、4曲目「My Romance」で感じが変わる。
八:何がどう変わるんで?
親:スローなイントロから徐々にテンポを上げていって、ついにアップテンポで盛大にスイングし始めるんだなこれが。
ドラムとベースも大々的にソロをとり、素晴らしく密度の高いインタープレイを聴かせてくれる。
八:何すかそのインターチェンジってのは。
親:想定の範囲内のボケ、つまらんぞ。 「インタープレイ」ってのは、直訳すれば「相互作用」だが、
要するにミュージシャン同士の考えが通じ合って、お互いのアドリブがうまくかみ合った状態、とでもいうかな。
八:あっしと親分の会話みたいなもんですね。
親:かみ合ってるかあー、おれたち? とにかく、ここからノリノリ全開、元気の良いエヴァンズが聴けるってわけだ。
8曲目「Beautiful Love」の推進力、とっても爽快だねえ。
八:スウィングしてますねえ、カッコイイですねえ。
親:つづく Edition Two も、素晴らしい演奏ぞろいだが、なんといっても凄いのが最後の「Nardis」。
ピアノソロで始まり、徐々に緊張感を高め、なんと6分半を過ぎてから、テーマが完全な形で提示される瞬間のスリリングなこと。
続いてベースとドラムの長大なソロ、一種異様な盛り上がりだ。 17分をこえる異形の熱演。
八:うーん、すごい迫力でやんす。 というか、ちょっとうるさいです〜。
親:「You Must Believe in Spring」みたいな、センチメンタルな晩年のエヴァンズも好きだけど、こういうパワフルな面もあるんだな〜と思わされるアルバムだ。
このあと1年もしないうちに死んでしまうとは信じられねえなあ。
八:人の命は、はかないもの。 親分も身体には気をつけておくんなせえ。
親:八・・・。 俺のことを心配してくれてるのかい。
八:へえ、こないだ貸した1000円、返してもらう前に死なれたらコトでさあ。
親:うー、もう一生返してやらねえ!!
(05.11.2.)
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