タチアナ・ヴァシリエヴァ/SOLO(無伴奏チェロ作品集)
(2005)




Amazon : タチアナ・ヴァシリエヴァ/SOLO

<曲目>
コダーイ/無伴奏チェロ・ソナタ
イザイ/無伴奏チェロ・ソナタ
A・チェレプニン/無伴奏チェロ組曲
カサド/無伴奏チェロ組曲

昔買ってロクに聴いてなかったCDですが、なにげなく聴きなおして、ぶっ飛びました。
こりゃすごいわ!

 タチアナ・ヴァシリエヴァ/SOLO(無伴奏チェロ作品集)

20世紀に作曲された無伴奏チェロ作品が4曲おさめられています。

冒頭のコダーイの無伴奏チェロ・ソナタ、いきなりもっていかれます、大迫力です。
決然とした歌いまわしはタメをたっぷり効かせ、張りと艶のある美音が響きわたります。
生々しいほどの優秀録音が花を添えます。
シュタルケルやヨーヨー・マよりもいいんじゃない、これ?
さすがはロストロポーヴィチ・コンクールの優勝者です。

 

第3楽章はチェロ1本でロックバンドをやれと言わんばかりのド変態超絶技巧炸裂音楽ですが、
タチアナ・ヴァシリエヴァは暴走することなく、どのフレーズも正確に弾ききりながら、構築されるは華麗で雄大な音世界。
理性と野性が見事に並び立ってて、なにこれ、凄すぎない?

 

 タチアナ・ヴァシリエヴァのライブ映像
 

イザイの無伴奏チェロ・ソナタ作品28は、代表作である6つの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ作品27に続けてすぐ作曲されたそうです。
ヴァイオリン・ソナタはすっかり人気曲に成り上がったのに、なぜかチェロ・ソナタは無名。
ひとりだけバカ売れしたお笑いコンビの片割れのような悲哀が漂います、こういうの好きです。
聴いてみると・・・いやあ・・・まあまあいいんじゃない?
というかタチアナのチェロが上手すぎて、曲がいいのか演奏がいいだけなのかよくわから・・・いや、何度か聴いたらめっちゃいい曲に思えてきた。
これ名曲です、そう決めた! みんなぜひ聴きましょう!
イザイに光を。

 第1楽章 レント・エ・センプレ・ソステヌート (独りもの思うようなモノローグが渋くて良い)
 

アレクサンドル・チェレプニン(1899〜1977)はロシア人ですがアジア的・東洋的なものに興味を示し、1930年代には日本にも長期滞在しました。
「チェレプニン作曲賞」を創設し、伊福部昭はこれを受賞したことで一躍名を上げました。
早坂文雄を教えたこともあり、戦前の日本音楽シーンを語るうえで避けては通れない人です・・・が、すっかり忘れ去られているのはなんでだろう。
無伴奏チェロ組曲(1946)は4曲合わせて7分程度の小品で、全体に東洋風味ですが、第4曲は非常に日本的なものを感じます。
小洒落てノリノリで、チェロ・リサイタルのアンコールで演奏したら超ウケそう。

 第4楽章 ヴィヴァーチェ
 

ガスパール・カサド(1897〜1966)はスペインの名チェリストで作曲家としても高名な人。
日本ではピアニスト原智恵子の夫としても知られます。
カサドの無伴奏チェロ組曲(1926)は、存在は知ってましたが、こんなにいい曲だったとは。
とくに第3楽章、静かな間奏曲に続くフィナーレはスペイン舞曲のリズムで情熱的に盛り上がります。

 第3楽章 間奏曲〜ダンス・フィナーレ
 

これは本当に素晴らしいアルバムです。
無伴奏チェロ作品がお好きな方には絶対にオススメ!

タチアナ・ヴァシリエヴァは2014年にアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席チェロ奏者に就任。
そのかたわらソリストとしても活躍しているそうです。

(2024.02.23.)


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