ソレル/2つのオルガンのための6つの協奏曲
(Maurizio Croci, Pieter van Dijk 2007録音)



Amazon : ソレール:2つのオルガンのための協奏曲

スペインの僧侶にして作曲家にして鍵盤楽器奏者、アントニオ・ソレル(1729〜83)。
ドメニコ・スカルラッティの弟子でもあり、師匠ゆずりの単一楽章ソナタを120曲ほど書きました。
ソナタの多くはスペイン王カルロス3世の息子、ガブリエル・デ・ボルボン(1752〜88)の音楽の練習用に書かれたもの。

ガブリエル・デ・ボルボンは、古代ローマの文学作品をスペイン語に翻訳するなど知的で教養豊かな皇子で、
音楽の腕前もかなりのものだったそうです。

 2つのオルガンのための6つの協奏曲

は「協奏曲」と名付けられていますがガブリエル皇子と演奏するために作ったオルガン二重奏曲
オルガンの二重奏とは珍しいですが、当時スペインには2台のオルガンを備えた教会がけっこうあったそうです。
ご、豪華ですね〜。

パイプオルガン2台ということで大音量の爆音系暴力音楽を想像されるかもしれませんがご心配なく。
春のお花畑のようなのどかな響きに幸せな気分になること請け合い。

 ソナタ第1番 ハ長調 第1楽章 アンダンテ
 

どの楽章もノーブルでありながら人懐こい魅力があり、聴くだけで肩こりが治りそうです。
「オルガン二重奏曲界の最高傑作」と言っても過言ではないでしょう (なお競合相手はいない模様)。

 ソナタ第6番 ニ長調 第1楽章 アレグロ〜アンダンテ (華麗でゴージャス!)
 

パイプオルガンを2台も鳴らしながら決して居丈高になることなく、柔らかく色彩的な響きを堪能させてくれます。
ジェントルでメロウな心地よさ。
ソレルの作曲家としてのセンスの良さ、素晴らしいですねえ。

 ソナタ第5番 イ長調 第2楽章 メヌエット (可愛らしいメヌエットとバリエーション)
 

なお、ガブリエル・デ・ボルボン皇子は1788年、天然痘のため急死しました。 享年36歳。
父王カルロス3世は愛息子の死に大きな衝撃を受け、その翌月に世を去ったそうです。

(2023.07.09.)


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