門あさ美/SACHET 〜サシェイ〜
(1980)



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1980年代によく聴いたシンガー・ソングライター、門あさ美(1955〜)。
セカンド・アルバム"Sachet"(1980)は、とくにお気に入りです。
"Sachet"とは、フランス語で「匂い袋」のこと。
綺麗な小袋に香りのついたパウダーを入れ、バッグやポケットに入れて持ち歩くのだそうです。
1980年に、そんなお洒落でマイナーな言葉をアルバムタイトルに選ぶセンス、ただものではありません。
ルビー・レッドのジャケットとあいまって(LPだととても綺麗でした)、淫靡で官能的な香り漂う「音の匂い袋」です。

全10曲収録、私にとってのベスト・トラックは"Lonely Lonely"です。

 

ただし異論は認めます、10曲ぜんぶ素晴らしい!

 セ・シ・ボン
 

 予期せぬ出来事
 


コンサートはしない、メディアにも(ほとんど)出ない、レコードだけで勝負、生い立ち・経歴非公開・・・
そんなミステリアス路線がかえって人気を博し、一部に熱狂的なファンを生みました。

曲はすべてセクシーなラブソング、鼻にかかったベルベット・ヴォイス、アンニュイな歌い回し、謎めいた美貌。
ほぼ全曲、門あさ美自身の作詞・作曲、これがまたクオリティ高いです、才能と知性が伝わってきます。
デビュー曲「ファッシネイション」(ファースト・アルバム"Fascination"収録)なんて、
もろにセックスのエクスタシーを歌っておきながら、何ですかこのエレガントさはっ、けしからんっ!(←?)
まさに「淫蕩な淑女」であります。

 ファッシネイション (デビュー・アルバム「ファッシネイション」収録)
 
 
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セクシ−で官能的な曲が多いのに、不思議と下世話な感じがしません。

 シャワーのあとで ほのかに漂う 貴方の匂い けだるく甘く

とか

 これきりの夜だもの 私の好きな腕枕 朝まで眠らせて

とか

 ぼんやり鏡の中 口紅引き直し あなたの感触さっきのまま まだ潤む瞳 熱い体中

みたいな歌詞も、この人が歌うとどこまでも品があります。
とはいえやっぱりセクシーですよね。
毎日聴きながら「艶っぽいオトナの女性」に憧れ、空想し、悶々とした若き日の自分・・・(きもい)。

アレンジとバック・ミュージシャンは当時の超一流がつとめています。
松任谷正隆、鈴木茂、羽田健太郎、ジェイク・コンセプション、佐藤準、後藤次利など、見れば見るほどすごい顔ぶれ。
いま聴いても、持っていかれます。 レトロだけど古臭くありません。

そういえばどっかのサイトで「歌う壇蜜と言ってた方がいて、思わず笑ってしまいました、そりゃ失礼だろ・・・(どっちに?)。

1988年(昭和が終わった年)に9枚目のアルバムをリリース、その後長い沈黙。
いまごろどうしているかしら・・・・・・と、ネットで検索しましたが、見事なまでに情報なし。
今世紀に入ってからも、ベスト・アルバムの選曲やジャケット・デザインは自分でやっているので、どこかで元気にされているのでしょうが、完全に消息不明です。 
おそらくご本人の意思なのでしょうね。
ますますもってミステリアスさが際立ちます。

あざやかで潔い「消えっぷり」に感じ入り、ただいま個人的に「門あさ美懐古月間」を開催中。
毎日聴きながら悶々としています・・・(きもい)。

なお、サード・アルバム「セミ・ヌード」(1981)も傑作です。
LP買うとき恥ずかしかったけどな。

 月下美人(サード・アルバム「セミ・ヌード」収録)
 

(2017.09.09.)

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