百田尚樹/プリズム
(幻冬舎 2011年)




Amazon.co.jp : プリズム


いま目の前にいるのは、私が愛した“あなた”ですか?

「僕は、実際には存在しない男なんです」
世田谷に洋館を構える旧家に、小学生の男の子の家庭教師として通うことになった聡子
ある日、聡子は、離れに住む青年に出会う。
彼は攻撃的で荒々しい言葉を吐いたかと思えば、馴れ馴れしくキスを迫ったり、
ときには男らしく紳士的に振る舞う。
困惑しながらも、聡子はしだいに彼に惹かれていく。
しかし屋敷の人間は青年については堅く口を閉ざす。



『BOX!』 『風の中のマリア』 『影法師』などで、当HP管理人お気に入りの百田尚樹さんの新作です」

『多重人格者との恋愛』というワンアイディアのみの小説じゃんかよ、結局」

「それで最後まで引っ張っていくのが技なのでござる。なかなか読ませることは貴公も否定なさらぬと思うが如何」

「しかし毎回作風ガラリ? 変わる? てか、引き出し多い? さすがプロって感じ?」

「ラストは予想の範囲内だったわねー、もうひとひねりあるかと思ったけど」

「そこがええんやがな、シンプルでストレートな恋愛小説なんやさかい」

「ヒロインが恋に落ちるのが本来の人格ではない、という設定はせつなくて良かったぜ」

「聡子は結婚してるけど美人で子供はいなくて、旦那のほうもしっかり浮気してる、なんてちょっと御都合主義なんじゃないかしら?」

「そのへんをややこしうすると、エンタテインメントにならんやないけ」

「まあ百田さんの今までの作品? と比べてキャラクターややウスメ? でも読みやすいのはメリット?」

「拙者は、修一とその母がもっとストーリーに絡んでくると推測したのだが・・・、『実は修一が真犯人!』みたいな」

「なんの犯人だよっ!」

「巻末に参考文献がずらり。百田さん、かなりきちんと調べて書いてるわねー。真面目な人だというのがよくわかる」

「拙者、この参考文献の中に、思わず読みたくなる本、たくさんあるでござる」

24人のビリー・ミリガン、ワタシ的には確かに読んだ覚えがアリアリ、誰か内容覚えてない?」

「知らん」

「覚えてねえなあ」

「忘れたでござる」

「・・・たくさん人格がおっても全然頼りにならんやないかい!」

   (・・・・・・以上、私の脳内人格たちによる対談形式でお送りしました。)


(2011.11.23.)


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