ルイ・クープラン/クラヴサン曲集
(スキップ・センペ:クラヴサン)



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チェロの練習って、けっこうな有酸素運動ではないでしょうか?
30分も弾いていると、汗がだらだら、心拍数は上昇し、呼吸も荒くなります。
弦を押さえる左手も、弓を持つ右手も疲れます。
ジョギングに負けない運動量ではないかと思うのですが。
ならばチェロ弾くと、体脂肪率が下がるはずですね?

・・・しかし、1時間半チェロ練習したあとで体脂肪計に乗って思い知りました。
ぜんぜん減ってません。
妙に疲れるのは、身体に余計な力が入ってるせいです、たぶん。
レッスンのたびに先生から「もっと力を抜いて〜」と言われる私。
つまり運動ではなく、身体をこわばらせて勝手に疲れているだけ?

 ・・・・・・むなしい・・・・・・

さて、疲れたとき、心と身体をやわらかく癒してくれるのがルイ・クープランのクラヴサン曲。
ルイ・クープラン(1626?〜1661)は、フランソワ・クープランの伯父にあたり、
フランスを代表する音楽一家・クープラン家の始祖的存在。
そう、ドイツにバッハ家があり、アメリカにジャクソン・ファミリーがあるように、フランスにはクープラン家があるわけです。

ルイ・クープランのクラヴサン曲の特徴は、その自由さ。
とくに組曲の冒頭に置かれたプレリュードは、「プレリュード・ノン・メジュレ(拍子のないプレリュード)」と呼ばれ、
全ての音符が全音符で書かれていて小節線も拍子もなく、各音符の長さは奏者の自由に任されます。
おもわず「現代音楽かっ!」と突っ込みたくなります。

組曲ニ長調より前奏曲 (このCDの演奏ではありません)
(楽譜見ながら聴いてもわけがわからん・・・)

組曲ヘ長調より前奏曲


バロック黎明期、まだ決まった形式というものがなかった時代ならではの自由さ。
幻想的で神秘的なイマージュの飛翔に身を任せましょう。
固定化された作品というより、即興演奏を聴いている気分になります。
名手スキップ・センペは、香るような繊細さから、暴力的なまでの荒々しさまで、
幅広い表現で聴く者を古雅なる世界へいざなってくれます。

パバーヌ 嬰ヘ短調
(厳粛な静けさに満ちた名曲)

途中で気持ち良く眠くなってしまうのでなかなか行きつけないのですが、
最後に収められた「組曲ハ長調」終曲「パッサカーユ」の壮麗な音の大伽藍は、いつ聴いても素敵です。

組曲ハ長調よりパッサカーユ



(2014.10.6.)

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