シューマン/弦楽四重奏曲全集
(ロータス・カルテット 2003録音)



Amazon : ロータス・カルテット シューマン:弦楽四重奏曲全3曲

Tower@jp : シューマン/弦楽四重奏曲全集

ロベルト・シューマン(1810〜1856)の3つの弦楽四重奏曲は、
3曲まとめて75分(ちょうどCD1枚分)というおさまりの良さにもかかわらず録音は少なく、お世辞にも有名とは言えません。

本人は作曲に当たってベートーヴェンやメンデルスゾーンの四重奏曲を研究、周到に準備してから取り掛かりました。
出来栄えにも満足し、出版時には「私のこれまでの作品の中で最良のもの」とまで言ってるんですがねえ。
まあ、アーティスト自身は「絶対イイ!」と思っても売れ行きはさっぱり、なんてのは古今東西よくある話ではあります。

さてこの3つの弦楽四重奏曲は、すべて1842年に一気に(わずか2か月ほどで!)書かれました。
シューマンという人は、特定のジャンルの曲を「かため書き」する癖があり、
1842年は弦楽四重奏曲3曲のほか、名曲「ピアノ四重奏曲」「ピアノ五重奏曲」を作曲し、「室内楽の年」と呼ばれます。
ちなみに前年1841年は、交響曲第1番「春」、交響曲第4番の初稿、「序曲・スケルツォ・終曲 作品52」を続けざまに書いたので「管弦楽の年」
1840年は歌曲を100曲以上も書きまくり、「歌曲の年」と言われます。

シューマン、きっと定食を「ばっかり食べ」するタイプですね。
いきなりおかずを全部たいらげ、つづいて味噌汁を一気飲み、それからご飯をかきこみ、仕上げにタクアンをぽりぽり・・・(気持ちわる)。

さて今回、金魚水槽とメダカ水槽(全部で3台あるんです)の水替え時のBGMとして、久しぶりにこのCDをかけてみたら、大変良かったです(なんじゃそりゃ)。
ロマンティックで詩的で抒情感あふれる響きは優雅で明朗快活、天気の良い休日にぴったり。
そして時々、刺激的なメロディや激しいリズムが登場して「おっ」と耳を奪われるのもいとをかし。

第1番の第4楽章なんて、なかなかにキャッチーです。

 (このCDの演奏ではありません)

第2番の第1楽章はカノン風・対位法的な動きが楽章全体を支配、流れるような印象を与えます。
優美だなあ。

 (このCDの演奏ではありません)

第3番は、一般的には最高傑作と言われているそうです。
第4楽章の、いかにもシューマン的でイキの良いロンド主題の印象的なこと。
終曲にふさわしく、エネルギッシュに盛り上がります。

 (このCDの演奏ではありません)

ロータス・カルテットは、日本人女性4人からなる四重奏団(現在はメンバーチェンジして男性もいます)。
このCDはシューマン没後150年に発売され大好評、「決定盤!」の呼び声も高い名盤。
現在に至るも、このカルテットを代表する1枚といえます。

(2018.05.06.)


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