シューマン/ダヴィッド同盟舞曲集 作品6 ほか
(マウリツィオ・ポリーニ)
皆様は子供のころ「ひみつどうめい」を結成したことはありますか?
私はあります。
お向かいのノブオくんや、同級生のヒロタカくんなどと、あるとき、せいぎの「ひみつどうめい」を結成したのです。
近所の空き地に捨ててあったベニヤ板と段ボールを組み合わせて、立派な「ひみつきち」もつくりました。
この基地を拠点に「せかいのへいわ」を守るのが使命でしたが、
日が暮れても帰ってこないのを心配した親が探し回ったりして、かえって町内の平和を乱してしまいました。
そういえば大作曲家にも似たような人がいます(←自分と一緒にするな)。
それはロベルト・シューマン(1810〜1856)。
彼は「ダヴィッド同盟」という組織を結成し、27歳のときにピアノ曲「ダヴィッド同盟舞曲集 作品6」を作曲しました。
この同盟の趣旨は、「保守的な音楽を打破し、新しい音楽芸術を打ちたてよう」というもの。
主要メンバーは、情熱的な活動家のフロレスタンと、物静かで冷静なオイゼビウス。
もっとも、このふたりはともにシューマン自身が作り出した架空の存在で・・・
・・・要するに脳内フレンドかい!
さすがにメンバーが脳内フレンドだけでは寂しい(というか危ない)と思ったのでしょうか、
同じく「ダヴィッド同盟」がからんだ「謝肉祭 作品9」では「キアリーナ(クララ・ヴィークの愛称)」「ショパン」なども登場します (ひょっとして無理やり?)。
「ダヴィッド同盟舞曲集」は、いわば音で描いたフロレスタンとオイゼビウスのポートレート。
18の短い舞曲からなり、フロレスタンを表す活発な曲と、オイゼビウスを表す静かな曲がほぼ交互に現れます。
初版はシューマンでなく、「フロレスタンとオイゼビウス」の名前で自費出版(1838)。
なんだか若気の至りがそのまま楽譜になったみたいな代物ですが、
さすがは天才シューマン、若々しく、溌剌として、ロマンティックで、夢見がちで・・・・・・じつに素晴らしい名曲であります。
演奏はよくわかりませんが、とりあえずマウリツィオ・ポリーニの録音聴いとけば間違いないと思うよ!
第1曲 (元気よく)
第10曲 (バラード風に、きわめて速く)
(09.7.8.)
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