ケイト・ブッシュ/ライオンハート(1978)
Kate Bush/Lionheart



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7月30日は、ケイト・ブッシュ(1958〜)の誕生日。
今年(2018年)は60歳、還暦になるんですね (なんか、時の流れって・・・・・・)。
というわけで今日はこれを聴きました。


 Kate Bush/Lionheart(1978)


驚異のデビューアルバム"The Kick Inside"からわずか8か月でリリースされたセカンド・アルバム。
"The Kick Inside"を聴いてすっかりケイト教の信者と化していた当時の私は発売を待ちかねて買い、芸術的なジャケットを伏し拝んだのでありました。
ジャケット写真はケイトの自宅で撮影されたそうです。
裏ジャケもエキセントリックでセクシーで妖しくて最高です (LPだと迫力ありました)。

 

もちろん曲も素晴らしく、1曲目の"Symphony in blue"からいきなり虜、ハートをわしづかみに。
いま聴いてもやっぱりサイコーにいい曲だと思います。

 

 ブルーを眺めて時を過ごす 私の部屋の色 私の心の色
 壁はブルー つぶやく言葉もブルー
 太陽が顔を出すとき 雲間に見えるブルー
 どうしても目を奪われてしまう ブルー

 無意味感に襲われるときは 神に向かって心を飛ばす
 暗闇の中の光 ネオンに輝く腕で
 柔和さを探り 心の野獣をなだめ 魂の良い面を引きだしてくれる

 突然私はピアノの上でメロディと化する
 もう死の恐怖と戯れることはない
 私はシンフォニーに必要とされていると知ったから

 私は愛をレッドと結びつける
 死んだときの心臓の色
 嫉妬が飛び交う時の心はレッド
 感情の連鎖 小細工 危険なサインの瞳もレッド

 セックスについて考えるほど それは良くなる
 生きる目的のひとつ 血液循環に良く
 緊張を和らげるにも良く 輪廻転生の根源でもある

 突然私はピアノの上でメロディと化する
 もう死の恐怖と戯れることはない
 私はシンフォニーに必要とされていると知ったから

十代の少女が作る曲ですかね、これが・・・。
親の顔が見たいもんですが、天才ってのは本当にどうしようもないですね。

収録された10曲すべて素晴らしい傑作アルバムですが、とくに5曲目(LPだとA面のラスト)のタイトルナンバー"Lionheart"は、
第二次世界大戦で命を落とした兵士の視点からイギリスへの愛を歌う名曲。
「ライオンハート」とは英語の慣用句で「勇敢な心」を意味しますが、イングランド王リチャード1世(獅子心王)(1157〜99)のことでもあります。
生涯の大部分を戦いに明け暮れた勇猛な王に捧げた曲でもあるのかもしれません。
歌詞は意識的に古い言葉を使って書かれているようです。
それにしてもこれが19歳の小娘の作る曲ですか、ホントに!!

 

 嗚呼イングランド、我がライオンハート
 我は庭園にて 汝の腕に抱かれ身罷りゆく
 兵士は和らぎ 戦は終わる
 防空壕にはクローバーが繁る
 傘の花が通りを埋め 我がロンドン橋はまた雨のなか

 嗚呼イングランド、我がライオンハート
 ピーターパンはケンジントン公園で児らを攫ひ
 汝は渦巻くテムズにてシェイクスピアを読み給ふ
 かの古き河の詩人のいかで滅すべき
 我らの鼓動はカラスを制し 塔を崩壊から守る

 嗚呼イングランド、我がライオンハート
 我は逝きたくはない

 嗚呼イングランド、我がライオンハート
 我は黒のスピットファイアより堕ちて葬儀船に乗せられた
 林檎の花の下で我に接吻を ひとつの望みを
 果樹園にて盃を干さん 我がイングリッシュ・ローズに
 あるいは我を故郷へ誘う羊飼いとともに

 嗚呼イングランド、我がライオンハート
 我は逝きたくはない

このアルバム、個人的には大傑作と思いますが、意外なことにケイト・ブッシュ自身はあまり気に入っていないそうです。
理由はプロデューサーの権限が強く、自分の意見があまり反映されなかったから。
レコード会社はコケティッシュな妖精のイメージで売りたかったのに対し、ケイトはマルチ・アーティストとしての自分をもっと出したかったんですね。
次のアルバム"Never Forever"(1980)は共同プロデュース、4作目の"Dreaming"(1982)からはセルフ・プロデュースとなります。
この、タガが外れた4作目"Dreaming"は前衛的で難解、セールス的にも不調で、ケイトはショックを受けたそうです。
天才には凡人の感覚というかキャパシティがわからないんですね・・・。
でも自由奔放で悪魔的な、黒魔術の呪いのような傑作です(褒めてます)。
私も20年くらいしてようやく真価がわかってきました。

"Lionheart"は、親しみやすいポップなアルバムなので安心してお聴きくださいませ。


 WOW("Lionheart"からシングルカットされた1曲)
 

(2018.07.30.)


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