米澤穂信/クドリャフカの順番〜「十文字」事件
(角川書店 2005年)



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<ストーリー>
神山高校文化祭を前に、「古典部」は、とても困った状況に追い込まれていました。
30部印刷する予定の、文化祭で販売する文集を、手違いで200部も刷ってしまったのです。
売れ残り&大赤字は必至、4人の部員は頭が痛い痛い。
さて文化祭当日、ただでさえ盛り上がる神高祭(カンヤ祭)ですが、
今年は、いろんな部から「どうでもいいもの」を盗んでは犯行声明を残してゆく怪盗「十文字」が跳梁し、すっかりお祭り騒ぎ。
「十文字」の正体を暴けば「古典部」の宣伝になって文集も売れる!と、部員たちは色めきたちますが・・・。


最近気になっているミステリ作家、米澤穂信(よねざわ ほのぶ)
基本的に血なまぐさくないのが好みに合っております。
ストーリーは若者向けライトノベル風で、実際そっち方面出身の方らしいです。
しかし私のようなオッサンが読んでも楽しめる巧みな構成、文章力、キャラクター造形。
こまっしゃくれた高校生たちしか出てこない軽いミステリ、なんでこんなに面白いのでしょう。
不思議なことに教師すら一人も出てこないんですね〜(ちょい不自然?)
高校を舞台にした小説としては、正直、恩田陸「夜のピクニック」より、こちらのほうがツボにはまった私ですが、
これは単に好みの問題。

おっとり系お嬢様ながら猫の大群を殺戮しかねないほどの好奇心の持ち主、千反田える(ちたんだ える)。属性ボケ・ボケ。
何でも「楽しんでやる」ことがモットーの快楽主義者、福部里志(ふくべ さとし)。属性ツッコミ・ボケ。
エネルギッシュで批判精神旺盛、何をそんなに怒っているんだと尋ねてみたい、伊原摩耶花(いばら まやか)。属性ツッコミ・ツッコミ。
何に対しても余分なエネルギーを費やすことが大嫌い、「省エネ」がモットーの折木奉太郎(おれき ほうたろう)。属性ボケ・ツッコミ。
4人の古典部部員が力を合わせて臨む、お料理研究会主催の「料理バトル・ワイルドファイア」は必見いや必読。
しかし高校の文化祭とはこんなに盛り上がるものでしたか? 
当時の記憶が薄れている私です。 
年はとりたくないもの、鷲は舞い降りるもの、箸は転げて可笑しいものです(言語中枢が暴走しはじめました)。

じつはこの作品、「古典部」シリーズの第3作らしく、
先行する作品として「氷菓」「愚者のエンドロール」が角川文庫から出ているはずなのですが、なんと現在品切れ。
本作品が好評なら重版されるかな。 うーむ、とても待ちきれません。
古本屋になら、あるかなあ。 わたし、気になります。
それではこれからブックオフ巡りに行ってきますっ! あっ、もう閉まっとるぞ!(真夜中じゃ!!)

(05.10.10.)


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