シュメルツァー/ヴァイオリン・ソナタ集
(エレーヌ・シュミット:ヴァイオリン ほか)
Amazon.co.jp : Schmelzer: Sonatae a Violino Solo
HMV : シュメルツァー/ヴァイオリン曲集
天使のヴァイオリン
ガラッ八:親分こんにちは〜。 おお、ふくよかなヴァイオリンの音色が聴こえるでやんす。
親分:いいだろう、これ。 アルファ(alpha)という、フランスの古楽レーベルのCDだ。
このレーベル、以前から気になっていたんだが、強気の価格設定もあって、なんとなく手が出なくてなあ。
今回、ちょっと思い切って買ってみたぜ。
八:フランスのレーベルですか。 オシャレでセンスのいいジャケットでやんすね。
親:ケースというか紙ジャケットの作りも上品かつ丁寧で、値段が少々高いのもうなずける。
naive といい、alpha といい、さすがにフランスは一味違うなあ。
八:で、この作曲家は? ・・・シュメルツァー? 聞いたことないですねえ。
親:ヨハン・ハインリヒ・シュメルツァー(1620〜1680)。
「オーストリア・ヴァイオリン音楽の父」とも呼ばれ、オーストリア人で初めてウィーンの宮廷楽長になった人物だ。
八:え? でも、ウィーンってオーストリアでしょ?
親:ウィーン宮廷では、楽長はずっとイタリア人だったんだ。
音楽の本場はやっぱりイタリア、ヨーロッパ音楽界の「イタリア信奉」は根強いんだよ。
モーツァルトのころもウィーン宮廷楽長はイタリア人のサリエリだったしな。
八:へー、音楽の都、ウィーンでねえ。
親:当時、楽長にはイタリア人を据えるのが一種のステイタス。
日本でも、フランス人シェフがいるフランス料理店のほうが、格が高いイメージあるよな。
八:あっしがよく行く駅前の「陳珍軒」の大将も中国人です。
あそこも格が高いわけですかー、どうりで美味いわ。
親:とにかくこのシュメルツァー、20代からウィーン宮廷に勤め、1679年に念願かなって楽長に就任、
ところが翌1680年、ペストでコロッと死んでしまった。
八:うわー、気の毒に・・・。
親:まあ、死ぬ前に楽長になれて本望だったかもな。
このCDは、代表作であるソナタ集「Unarum Fidium」からの2曲や、
世界初録音の未出版曲もまじえて、シュメルツァーのヴァイオリン音楽をいいとこ取りで堪能させてくれる。
八:音の流れがきれいでやんす〜。 歌うように、物語るように・・・350年も昔に、こんな音楽があったんでやんすねぇ。
親:変則調弦(スコルダトゥーラ)も駆使されているが、弟子筋のビーバーよりも、叙情的で優しい感じだな。
自由に飛翔してゆくイマジネーションが素晴らしい。
柔らかくて深みのある音で演奏してくれるのはバロック・ヴァイオリン界のホープ、エレーヌ・シュミット。
八:暖かく広がりのある、いい音ですね、気持ちよく安らげるでやんす。
そうだ、胎教なんかにもよさそうですねえ。
親:オッサンふたりで胎教の話をしても仕方がねえだろう。
八:だって、親分のそのオナカ見たら、つい連想してしまいやして。
親:ほっといてくれ!
シャコンヌ イ長調
(07.11.19.)
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