Amazon.co.jp : Glazunov: Piano Concertos Nos. 1 & 2
決して「大傑作」とは言えないし、べつに「有名曲」でもないのですが、なんとなく好きな曲ってありますよね(よね?)。
私はなぜかたくさんあります。
そんな曲のひとつ(ふたつ)が、グラズノフのピアノ協奏曲。
じつはこの人の作品では、「ヴァイオリン協奏曲」が昔から好き好き大好き超愛してるでありまして、
これはロマン派のヴァイオリン協奏曲の中でも屈指の名曲だと思います。
チャイコフスキーやブルッフの協奏曲の半分も有名でないのが不思議でたまりません。
現代でもまだ、科学で説明できないことがあるということでしょう(←科学じゃないって)。
そこへいくと彼の「ピアノ協奏曲」は・・・
まあ、あまり聴かれないのもしょうがないかなぁ・・・
と、つい納得してしまう弱気なワタクシであります。。。
気を取り直して聴いてみましょう。。。
「ピアノ協奏曲第1番ヘ短調 作品92」(1910)は、ふたつの楽章からなります。
第1楽章はソナタ形式、第2楽章は長大な変奏曲。
チャイコフスキーのピアノ三重奏曲「ある偉大な芸術家の思い出」に似た構成ですが、
曲調はべつに悲劇的ではなく、ただひたすらにロマンティック、はっきり言ってベタ甘です。
どこを切っても一昔前の恋愛映画のサウンドトラックみたいな金太郎飴状態。
美しいことは美しいのですが、変化・メリハリに乏しく、それほど盛り上がるわけでもなく・・・・
まあ、人気がないのも当然といえましょう。
しかし、ラフマニノフをダメ男にしてすこし酔っ払わせたようなこの曲、そのグダグダした感じがなんともいえず良いと思いませんか。
どこか崩れた魅力があるというか、ロマンティックが行き着くところまで行ってしまい、うれて熟してすこし腐りはじめた気配をただよわせてます。
何かが美しく滅びてゆくような音楽。
人生の黄昏を静かに見つめるようなピアノ協奏曲(なんじゃそりゃ)なのであります。
ピアノ協奏曲第1番 第1楽章
じっさい、ペテログラード音楽院学長でもあったグラズノフには、
ロマンティックな音楽の時代が終わりつつあることが見えていたのかもしれません。
生徒であるショスタコーヴィチを評して、
「私は彼の曲が好きではないが、これからはあのような音楽が好まれるだろう」
と述べたことは有名です。
「ピアノ協奏曲第2番ロ長調 作品100」(1917)は、単一楽章。
冒頭主題は田園風・英国風で、やや古典的なたたずまい。
第1番よりも明るくはきはきした感じですが、
中間部はラフマニノフ風に(グラズノフのほうが師匠ですが)ロマンティック&華麗に盛り上がります。
派手さはないものの、手堅く作られた愛すべき作品です。
ピアノ協奏曲第2番
2曲とも叙情的で美しいです。
ただ、強く訴えるものには欠けているかあ、やっぱり。
よく言えば押し付けがましくないとも言えますが・・・。
グラズノフの協奏曲では、ほかには「アルト・サキソフォンと弦楽のための協奏曲 作品109」も非常に好きです。
(09.08.03)
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