ジェミニアーニ/合奏協奏曲 作品2&3
(L'archicembalo 2024録音)



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イタリア、ルッカ生まれのフランチェスコ・サヴェリオ・ジェミニアーニ(1687〜1762)は、
ローマでアルカンジェロ・コレルリ(1653〜1713)に師事、1705年にナポリでヴァイオリニストとしてデビュー。
名手として評判になり、1714年にロンドンに招かれます。

ロンドンにはドイツからやって来たヘンデルがいて、ふたりは意気投合、一緒に演奏したりしたそうです。
ふたりとも故郷に戻ることなく、イギリスに骨を埋めました。

当時イギリスではコレルリの音楽は大変人気がありました。
なので弟子のジェミニアーニもコレルリ風の合奏協奏曲を書きました。
「コレルリの弟子」というブランドを利用したわけですね。


「6つの合奏協奏曲 作品2」は1732年に出版されました。
流麗でよく歌い、多声部のポリフォニックな絡み合いがスリリングな、素敵な作品です。

 協奏曲 作品2−3 ハ短調 第1楽章 プレスト (涼やかで品のある躍動的な音楽)
 


「6つの合奏協奏曲 作品3」は、その翌年(1733年)に出版されました。
作品2よりも複雑で、フーガ的な手法が目立ちますが、それほど厳格ではなく耳当たりは良いです。

 協奏曲 作品3−3 ホ短調 第2楽章 アレグロ (半音階風の主題による四声のフーガ ちょっとバッハっぽい)
 

 協奏曲 作品3−6 ホ短調 第2楽章 アレグロ (これまたフーガ・・・途中で突然アダージョになってびっくり)
 


ジェミニアーニの音楽はイギリスの音楽ファンに大人気となりました。
18世紀前半のロンドンは経済発展とともにコンサートが急増、その主な聴衆は新興中産階級でした。
音楽は「教養的だが分かりやすい娯楽」であることが求められ、ジェミニアーニはそこにうまくハマッタわけですね。

ヴァイオリニストとしては高度なテクニック、音量のコントラストを強調した荒々しい演奏を売りにしました。
音程の不安定さやテンポの揺らぎを批判されることもあったそうですが、

 「彼の音程は常に正しいとは限らない、しかし彼の演奏は常に感動的だ」
 「彼のヴァイオリンは炎と表現にあふれている」
 「完璧に弾く人ではないが、必ず何かを語る人だ」


などと評されました。
没入型のパフォーマンスで聴衆を惹きつけるロック・アーティストみたいですね。
現代でもけっこうウケるんじゃないかな。

もちろん技術的な裏打ちあってのことで、「ヴァイオリン演奏の技法」(1751)をはじめとする演奏指南書を何冊も書いています。
単なる指使いではなく、「どう語るか」「どう感情を伝えるか」を重視する内容で、音楽シーンに大きな影響を与えたそうです。


 協奏曲 作品3−6 第4楽章 (この曲はフーガではありません 端正な感じの終曲)
 

(2025.12.29.)

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