バッハ/フーガの技法(フレットワーク)
(2001年録音)

Amazon : フーガの技法(フレットワーク)
サラッと聴ける「フーガの技法」
J ・S・バッハ「フーガの技法」
晩年のバッハが、自らの作曲技法の奥義を書き記した未完の大作。
名シェフがレシピ本を書きたくなるようなものですね。
ひとつの地味な主題をもとに、対位法のあらゆる技法を駆使したフーガ(コントラプンクトゥス)が19曲も続きます。
ただし残念なことに、作曲されたころにはフーガという形式はとっくに時代遅れとなっていました。
文明開化の時代に武士道を語るようなものでしょうか。
1750年のバッハの死後まもなく、長男のフリーデマン・バッハが楽譜を出版しましたが30部しか売れず大赤字。
困ったフリーデマンは印刷に使った銅版を地金の値段で売り飛ばして足しにしたそうです。
同じ主題によるフーガを十数曲も並べるという常識では考えられないレベルで地味かつ渋い曲。
当然ながら永らく忘れられていましたが、20世紀に入ってからぼちぼち演奏されはじめ、
いまやバッハの最高傑作のひとつに数えられています。
楽器指定がないこともあり、いろんな編成の録音があります。
フレットワークの「フーガの技法」は、6台のヴィオラ・ダ・ガンバの合奏。
楽器特有の柔らかい浮遊する様な響きが耳に心地よく、イージー・リスニングか環境音楽のようです。
「気持ちよくサラッと聴けてしまう『フーガの技法』の録音はこれだ!」
と、「フーガの技法」それほど聴いているわけではない私が断言します(←ダメじゃん)。
コントラプンクトゥス1
もわーっとした響きがもこもこ動いている感じなので、「対位法をしっかり味わいたい」とか「曲の構造を分析しよう」という聴き方には向きません。
その代わり、「フーガの技法を聴いてリラックスしたい」という場合には最適の録音です (いるのか、そんな人?)。
コントラプンクトゥス5
もっとも派手で盛り上がる「コントラプンクトゥス9」ですら、この穏やかさです。
↓
幾何学的なメロディ・ラインを遅めのテンポでたっぷりと歌い上げる、その朴訥さが、かえってファンタジーを膨らませます。
現代の腕達者たちのデジタルに整理された演奏とは違った、カドの取れた魅力があります。
コントラプンクトゥス11
なお「もうちょっと刺激的な演奏で聴きたい」と仰る向きには、ムジカ・アンティクワ・ケルンの録音がいいかもしれません。
コントラプンクトゥス9 (ムジカ・アンティクワ・ケルン)
(2026.09.20.)
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