フランク&ピエルネ/ピアノ五重奏曲
(海老彰子:ピアノ パリジ四重奏団)
Amazon.co.jp : Franck&Pierne/Quintettes Pour Piano et Cordes
みなさんこんにちは、おなじみ「クラヲタのためのワイドショー講座」の時間です。
さて早速ですが、1880年パリで行われた、
セザール・フランク(1822〜1890)のピアノ五重奏曲の初演で、
なにか事件があったようです。
フランク:ピアノ五重奏曲
現場の天出臼レポーターと電話がつながっています。
天出臼さーん。
「きょほほほほほほ、世紀の天才・天出臼で〜す。 お尻なめてるかーい!
面白いことになってるよー、フランクのピアノ五重奏曲。
いや、曲はよかったんだけどね、拍手も多かったんだけどね、
演奏が終わって、作曲者フランクが ピアノ担当のサン=サーンス(1835〜1921)に握手の手を差し伸べたら、
なんとそっぽを向かれちゃったんだよ、きょほほほ」
おやおや
「曲はサン=サーンスに献呈されてるのにねー・・・
あ、献辞の書かれた楽譜をピアノの上に置いたまま、帰っちゃったよサン=サーンス」
いったい何があったのでしょう?
「これはねー、オーギュスタ・オルメス(1847〜1903)という女性が原因なんだよねー。
富豪の令嬢で、早くから音楽の才能を示していたオーギュスタは、
自宅のサロンに音楽家を集めて自作を披露、美貌もあいまって、一躍人気者に。
12歳年上のサン=サーンスは、彼女にすっかりまいってしまい、プロポーズまでしたんだよ。
断られたけどね、きょほほほほほ。」
あちゃあ。
「1876年からオーギュスタはセザール・フランクに作曲を師事。
謹厳実直、真面目を絵に描いたようなフランクだけど、彼女の魅力には抵抗できず、
妻子ある身でありながら、のぼせ上がってしまったんだよねー、きょほほほほ。
ボクみたいに普段からテキトーに遊んでいればよかったのにね」
あわわわわわ、コンスタンツェさんが聞いてるかもしれませんよっ!。
「オーギュスタに恋焦がれながら、思いを込めて書いたのが、このピアノ五重奏曲。
重厚でありながら叙情的、悲劇的でありながら華麗、 なかなかいい曲なんだよ、ボクには負けるけど、きょほほほほ。
でもそんな曲を献呈されても、サン=サーンスとしては面白くないよね、
実質的には、かつて自分を振った女・オーギュスタに捧げられた曲なんだから」
そりゃそうですよね。
「初演前に自宅で演奏したときにはフランクの奥さんも大激怒、『この曲大嫌い!』と叫んだんだってさー」
しゅ、修羅場だ・・・。
「でも、曲自体はホント、なかなか良かったよ。 聴けば?」
ところで、オーギュスタのほうは、フランクのことどう思ってたんでしょうね。
「彼女、親しい友人に言っていたそうだよ
『調教師はいつも動物の眼をまっすぐに見つめるでしょう?
私もそう。 そうすれば、絶対自制心を失うことはないのよ』
どーやら、男という動物を意のままにあやつる調教師だったようだねえ」
ま、魔性の女・・・。
(腰のくびれが・・・健康に悪そう)
「じつは彼女、1870年ごろからカチュール・マンデスという詩人と愛人関係にあったらしいんだよねー。
マンデスのほうは結婚していたんだけど、なんと彼との間に4人の子供まで産んでしまう」
はあ・・・、スゴイですね。
「一方で、リストやワーグナーにも才能を認められ、かわいがられたということだよ。
作曲家としても、カンタータ「勝利のオード」(1889)「平和の賛歌」(1890)などが大成功。
今では忘れられているけど、19世紀末パリ音楽界の花形だったんだ」
へえ、只モノじゃないんですね・・・。
「フランクの葬儀でも、オーギュスタの曲が演奏されたそうだよ」
フランクの奥さん、激怒しなかったんでしょうか・・・心配です。
ところで、もう1曲、ガブリエル・ピエルネ(1863〜1937)のピアノ五重奏曲(1917)もとりあげようかなー、と思うんですが。
「ピエルネ? ああ、フランクの弟子ね。
ピアノ五重奏曲? 悪くない曲だよ、聴けば? じゃあね」
そ、それだけですか?
フランクに幻想味を加えたような、とてもいい曲だと思うんですが・・・。
ああっ、もう放送時間がっ、それでは皆様、また来週〜。
(P.S.ピエルネもホントにいい曲です!)
ピエルネ/ピアノ五重奏曲・第1楽章
(08.10.12.)
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