ヨーロッパを知る50の映画(正・続)
(狩野良規  国書刊行会 2014)

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ヨーロッパ映画を丸かじり!
北欧から南欧、東欧から西欧まで、ハリウッド映画とは異質な、50本のヨーロッパ映画をとりあげ、
銀幕の中からヨーロッパ的な世界観をあぶり出す映画評論。
ハリウッドだけが映画じゃない。
あなたの映画鑑賞の幅を広げてみませんか。


映画、好きです。
いちばん良く観たのは大学生のころですが(30年も前・・・)、最近はもっぱら自宅でDVD鑑賞。
ところで映画って、本のように「飛ばし読み」はできないし、音楽のように「ながら聴き」もできないので、
基本的に画面をじっと眺めていることを要求されますよね(当たり前)。

 しかし、これがなかなか難しい。

我が家はTVはリビングに1台のみなので、これを2時間も占領すると家族から不平不満が。
ならばパソコンで観ようと思えば、やはりパソコンも1台しかないのでこれを2時間も占領すると以下略。
・・・こま切れ鑑賞になっちゃうんです。
結果、私の家には途中まで見てそのままになってるDVDがゴロゴロ状態。
わけがわからないことになっています。

なので映画の本を読んで「観た気」になる、ってのもありかなと思って(ないない)、このような本を買ってみました。

 狩野良規/ヨーロッパを知る50の映画(正・続)

「ハリウッド映画」を「仮想敵」に見立て、ヨーロッパ映画をぐいぐいオススメする本です。
私も、すぐに銃をぶっ放したり、モノをぶち壊したり、悪玉をぶち殺して万事OKみたいな映画はちょっと苦手。
どちらかというとヨーロッパの、地味というか、もってまわったというか、現実の苦さをそのまま描いたような映画が好きです。
私自身はヨーロッパに行ったことはないし、将来的にも行く予定はありませんが。

2冊で計100本の映画を紹介。
古くはブニュエルの「アンダルシアの犬」(1928)あたりから、新しいのは2003年のイタリア映画「夜よ、こんにちは」(聞いたこともない映画でした)という作品まで。
各作品のストーリーがきっちり最後まで紹介されていて、欲求不満にならずに済みます。
ネタバレしちゃっていいの? と思わないでもありませんが、著者は序文でちゃんと断っています。

 映画のラストを語ることは「ネタばらし」でありご法度であると考える向きもあろうが、
 それはやはりアメリカや日本の作品を中心とした発想で、ヨーロッパ映画は終幕をバラしても、べつにどうということはない。
 大したラストではないのだから。
 「さらに人生はつづく」、それだけである。
 (序文より)

紹介されている映画は芸術的で高尚なものが多く、私の好きなジャック・ドゥミは取り上げられないし、
ゴダールも私の好きな「女は女である」 「はなればなれに」は紹介されないし、
セクシーでおバカな60年代イタリアB級映画(「女性上位時代」「黄金の七人」とか好き!)も軒並み無視なのはちょっと残念ですが、
かわりになじみの薄い北欧映画や、ソ連時代のロシア映画、ユーゴスラビア映画、ポーランド映画などが紹介されていて、たいへん読みごたえがありました。

おかげで、いつ観られるかわからないDVDをまた何枚か、買いこんでしまいました・・・。

(2014.10.12.)

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