ジャン=リュック・ゴダール「はなればなれに」
Bande a Part
(1964)
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先日、苦しまぎれに「映画の感想小屋」を増築したところ、
多くの方から掲示板に歓迎の書き込みをいただきまして有難うございました。
大変励みになりました。
ネタ切れに負けずに頑張るぞー!
ところでこの間、夕食前にビール飲みながら家族と話していると、ニョウボが言いました。
「映画の話になると、通ぶってすぐ『ゴダールが・・・』とか言い出す奴はサイテーの馬鹿だって今日ラジオで言ってたよ」
「そうかぁー、はっはっは・・・(汗)」
なるほど、肝に銘じておくといたしましょう。
というわけで今回もゴダールでござーる (←ぜんぜん銘じてない)。
「はなればなれに」 "Bande a Part" (1964)
「女は女である」(1961)同様、アンナ・カリーナの魅力にしてやられる映画です。
今回アンナは、北欧からパリに出てきたばかりの田舎っぽい娘オディール。
裕福な叔母の家に居候して英会話学校に通っています。
可愛くてお馬鹿で天然・・・なのですが、謎めいた巨大な瞳、突然見せる暗く絶望的な表情に底知れないものを感じます。
何を考えてるのかわからなくて、ちょっと怖いです。
たぶん、自分でも自分が何なのかわからないのでしょう。
不安定で危なっかしいオディールを美しく魅力的に演じるアンナ・カリーナです。
ストーリーは、アルトゥールとフランツという二人の若者がオディールを抱き込んで、
彼女の叔母が家に隠してある大金を強奪する計画を立てるものの、いたるところで齟齬が生じ、ついに・・・
というものですが、まあどうでもいいです(いいのか?)。
端正な二枚目サミー・フレイ、冴えない小男だがリーダー格を演じるクロード・ブラッスール、男ふたりのじゃれ合いも楽しげです。
本筋と関係ないシーンばかりが印象に残ります。、
カフェでかる〜く計画を練ったらもう退屈してしまい、「1分間の沈黙」をしたり踊りだしたりするいいかげんさ。
ルーブル美術館を3人で手をつないで走り抜けたり。
地下鉄のなかでアンナが暗い歌をアカペラで歌ったり。
ダンス・シーン(マディソン・ダンス)
なお振り付けはアンナ・カリーナ自身です
そしてゴダールによるナレーションがあちこちで唐突に(ミシェル・ルグランの音楽を止めてまで!)挿入されます。
ルーブル美術館を駆け抜けるシーン
地下鉄の中で歌うアンナ・カリーナ
結局、若者たちの「強盗ごっこ」は苦い結末を迎え、なんだかよくわからないおとぎ話めいたエンディングへ。
とにかく好き勝手やっています。
作り手が心から楽しんでるのが伝わってくることが、この映画の一番の魅力ではないかと。
もっとも、このころからゴダールとカリーナの間の亀裂は徐々に拡大し、翌年にはついに離婚に至ります。
驚いたことにあの大傑作「気狂いピエロ」は離婚直後に撮影されたもの(もっとも私はこの映画、ちょっとついていけないのですが・・・)。
それはそれとして、この「はなればなれに」、カルト的な人気を誇る作品です。
ところでこのPVも、「はなればなれに」へのオマージュなんでしょうね(ピチカート・ファイヴ最高!)
↓
Twiggy Twiggy
(2012.7.21.)
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