Amazon.co.jp : Bach/Magnificat & Handel/Dixit Dominus
録音風景
今年(2009年)は、ジョージ・フレデリック・ヘンデルの没後250年。
同い年のバッハにくらべて、やや(かなり)影薄い感のあるヘンデルですが、今年はちょっと注目されてますよ! (・・・・・たぶん)。
ヘンデルの作品でとくに有名なのがオラトリオ「メサイア」。
文句なしの大傑作ですが、演奏時間2時間はやや長いかなあ。
家で聴いているとニョウボが「ちょっとこのビンの蓋開けて」と言ってきたり
宅急便がやってきて「おとーさん出てよ」と言われたり
子供が「その音楽うるさい!」と言ってきたりします。
そこで最近よく聴くのが「主は言われた Dixit Dominus HWV232」
ヘンデルが22歳の時に書いた声楽曲で、演奏時間は約30分と、お手ごろです。
歌詞は旧約聖書からとられ、
内容は、ユダヤ教の神が異教徒の王を打ち破り破滅させるという、やや剣呑なもの。
最近のパレスチナ情勢がふと頭をよぎらんでもないですが、音楽自体は非常に素晴らしいです。
曲は8つの短い楽章からなります。
1曲目からただならぬ緊迫感。
ドラマティックでスケール大きく、
気がついたときには、すっかり若き天才ヘンデルの術中に。
そのまま聴くものの気をそらせず最後まで引っ張ってゆきます。
さすがは「劇場音楽の大家」ヘンデル。
これからヘンデルの声楽曲を聴こうと思われる方は、「メサイア」の前に「主は言われた」を聴かれるが良かろう、
と主は言われたそうです。
ナタリー・デセイ、フィリップ・ジャルースキーなど、一流の独唱者をそろえたエマニュエル・アイム盤が、最近のお気に入りであります。
Handel/Dixit Dominus より第一曲(このCDの演奏ではありません)
なお、このCDには、J・S・バッハの「マニフィカト Magnificat BWV243」も収められています。
バッハの声楽曲といえば、「マタイ受難曲」「ミサ曲ロ短調」などが至高の名品として知られますが、どちらもかなり長いんですよね。
家で聴いてるとニョウボが(以下略)
そこへいくとこの「マニフィカト」は演奏時間も手ごろ。
12の短い楽章からなり、華やかな合唱やら、軽やかな独唱やら、しっとりした重唱やら変化に富んでいるので飽きません。
内容は神の子を宿したことを天使に告げられた聖母マリアが、神に向かって感謝の歌を歌うというもの。
いわゆる「受胎告知」の次の場面ですね。
余談ですがウチの子供たちはカトリック系の幼稚園に通っていたので、毎年12月に「生誕劇」というのをやりました。
天使が「おめでとうマリアさま幸せなかた。あなたは神の子を宿されました」と歌うと
マリア役の子が「まあなんといううれしいお知らせ」と、一生懸命覚えたせりふを棒読みします。
ちなみにウチの子は「羊飼いB」の役でした。
それにしても・・・。
突然、見ず知らずの天使から「あなた妊娠しました、おめでとう」と言われて喜べるものでしょうかね、うら若き女性が。
しかも「神の子」・・・、人間の子よりよほど面倒じゃありませんか。
「頼んでねーよ、このヤロー!」と叫ばないのが不思議でなりません。
などとしょーもないことを考えているうちに終わってしまう、25分ほどの曲です、「マニフィカト」。
美しいメロディ、沸き立つような合奏、天国的なハーモニー、バッハの声楽曲の中でも大変人気のあるこの作品、明るく華やかに曲を閉じるところも良いですね。
Bach/Magnificat
(09.2.9.)