ドラランド/ルソン・ド・テネブレ
(Isabelle Desrochers, ソプラノ ほか)
(Astree E 8592, 1996年録音)




Amazon.co.jp : Lalande: Lecons Des Tenebres

なんともはや、悪趣味なジャケットです (売る気あるんだろうか・・・)
このCDをジャケ買いする人がいたら、とっても怖いぞ。
しかし内容は、ソプラノ独唱と通奏低音のための、透きとおるような清らかな音楽。
静かに落ち着きたい時に聴くことにしているCDです。
部屋を暗くして、頭蓋骨のジャケットを眺めながら聴いていると、なぜか家族も寄りつきません。

ミシェル・リシャール・ドラランド (Michel Richard Delalande) (1657〜1726)は、
フランソワ・クープランとほぼ同時期にフランスで活躍した作曲家。
仕立て屋の15番目の息子として生まれた彼ですが、
音楽の道に進んでからは、リュリとともにルイ14世に寵愛され、20台半ばで副楽長に異例の大抜擢。
以後も順調に出世し、リュリの死後、その後を継いで王室音楽総監督に就任しました。
イヤミなまでに見事なサクセス・ストーリーの主です。

当時フランスでは、キリストの受難をいたむ聖週間に旧約聖書の「エレミアの哀歌」を朗唱する習慣があり、その音楽を「ルソン・ド・テネブレ」と呼んでいました。
基本的にソプラノ独唱(または重唱)と通奏低音だけの編成で、簡素で美しい作品が多いです。
F・クープランM・A・シャルパンティエの「ルソン・ド・テネブレ」が比較的有名ですが、このドラランドの作品も、勝るとも劣りません。

たとえば、よく演奏されCDも多いクープランの「ルソン」は、きわめて気品あり格調高く、
疑いもなく「ルソン・ド・テネブレ」の最高傑作ではありますが、どこか「お高くとまった」感じがしないこともないです。
そこへいくとドラランドは、庶民の出だからというわけでもないでしょうが、
メロディが明快でキャッチー、そのままオペラのアリアにしてもOK、みたいな親しみやすさがあります。

 ドラランド:ルソン・ド・テネブレより
 

じつはドラランドには、ふたりの娘がありました。
ふたりとも優れた歌手で、父親の「ルソン」を得意にしていましたが、1711年、天然痘のために相次いで亡くなってしまいました。
ドラランドは生前「ルソン・ド・テネブレ」の出版を許可しませんでした。
あるいは娘たちの思い出を大切にしたかったのかもしれません(死の3年後、1729年に出版)。
そういうこともあってか、このCDでは、ドラランドの「ルソン」の合間に、
マレ、ヴィゼーらによる「トンボー(哀悼曲)」を挿入して、さらにしっとりとした雰囲気を作り出しています。

それはそうと、ドラランドについて調べようと思って検索してみたら、
「ドラえもん」関係のHPが山ほど出てきたのは面白かったです〜。

(03.10.11.記)

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