ボッケリーニ/チェロ協奏曲全集(3枚組)
(Enrico Bronzi:独奏・指揮 Academica i Filamonici di Verona)



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毎年12月に、チェロの弦と弓毛を交換しています。
今年は10月ごろからなんとなく弾きにくい感じがしていたのですが、「12月までの我慢!」と自分に言い聞かせ、予約した日に楽器店へ。
弓毛はその日に楽器店で交換してもらい、弦は自宅で自分で替えます。
過去に2回、張り替え中に新品のA弦を切りむせび泣いた経験がある私、手が震えながらもなんとか無事に張ることができました。

新しい弦と弓毛で弾いてみると、おお、やっぱりなんか弾きやすい(気がする)ぞ!
音もなんだか良くなった(気がする)ぞ!
全体的に少し上手くなった(気がする)ぞ!

この(自己)満足感だけでモトをとった気になれる、おめでたい私。
でも3日くらいすると、やっぱり下手糞な自分を自覚します。

 「うーん、もう弦と弓毛が古くなったのかな〜?」(←違う)


さて、チェロ協奏曲をたくさん書いた作曲家といえば、第1位はおそらくアントニオ・ヴィヴァルディ(27曲)。
第2位が、ルイジ・ボッケリーニ(1743〜1805)の12曲と思われます。
ボッケリーニのチェロ協奏曲はどれも肩の凝らない娯楽音楽。
チェロの名手として知られるボッケリーニだけに随所に超絶技巧がちりばめられていますが、
曲想が能天気なため、それとは気づかずに聞き流されてしまう残念な仕様となっております。

すべて長調であり、短調作品は1曲もありません。
なにせ貴族のための娯楽音楽、深刻さ・暗さ・重さは無用なのです。
ひたすら明るく、幸福に、優雅に流れてゆきます。
メロディは美しく、軽やかで、ときにユーモラス、汲めども尽きぬ楽想の泉。
深みもインパクトもありませんが、徹底した典雅さと突き抜けた軽さは清々しく神々しいです。

さて、エンリコ・ブロンツィによるボッケリーニ/チェロ協奏曲全集(3枚組)

ボッケ〜リ〜ニ〜と聞き流しても邪魔にならず、じっくり聴きこんでも飽きがこない、優れモノ。
彼の音楽の天国的な麗しさをやわらか〜く実感させてくれる素晴らしいセットです。

なお、昔から「ボッケリーニのチェロ協奏曲」として知られ、さかんに録音されていた曲は、グリュッツマッヒャーという人が「協奏曲第7番」に手を加えたもの。
なぜか第2楽章は「協奏曲第9番」から持ってきたりしていて、よくわからない編曲ですが、
ボッケリーニが忘れ去られなかったのは「ボッケリーニのメヌエット」とこの編曲のおかげでもあるので、決しておろそかにしてはいけないのであります。
ただしこの3枚組には、当然ながらグリュッツマッヒャー編曲版は収録されていません。

 全曲(3時間20分あるよ!)
 

(2016.12.25.)


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「もし神が音楽を通して人に語りかけるなら、ハイドンを使われるであろう。
しかしもし神自身がお聴きになりたいなら、ボッケリーニを選ばれるであろう」

19世紀のヴァイオリニスト、ジャン・バティスト・カルティエの言葉

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