チャイコフスキー/「四季」Op.37b ほか
(ヴラディミール・アシュケナージ、1998録音)



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今日はチェロの弓毛を替えるべく、うどん県の県庁所在地・高松まで出かけました。
そういえば昨年も年末に弓毛と弦を替えたのでした。
といっても1年前には、自分では替え時かどうかよくわからなかったのですが、
今回は2か月ほど前からなんとなく弾きにくさを覚えてまして、

 「これはひょっとして替え時かな? 替えるべきは弓毛か、弦か、それとも自分の腕か?」」

と、思いながら弾いてました。
弓毛も弦も前回替えてからほぼ1年、腕は上手なのに替えられれば替えたいものです。
とりあえず本日、弓毛と弦の総替えセレモニーを敢行いたしました!
腕に関しては、地道に練習するか、iPs細胞医療の進歩に期待するとします。

さて弓毛は店で職人さんが交換してくれるのですが、弦は自宅で自分で張り替え。
じつは弦の張り替えには苦い苦い思い出が・・・・。
作業中に新品の弦を締めすぎて切ってしまったことが過去に2回もあるのです!

今回は絶対切らないぞ!
精進潔斎のため水ごりし、隣の神社にお参りして、家の神棚にお供えし、神にささげる踊りを踊る等・・・・・・したつもりで、
一極集中、緊張しながら、慎重のうえにも慎重に弦を張り替えました。

 無事に張り替えることができましたっ!!

やったぞ! やっぱりやればできる子だったんだ! 先生にはわかっていたよ(←誰?)
しばし感涙にむせんだのち、毛替えしたばかりの弓で、新しい弦を張ったチェロを弾きました。

   ・・・やっぱり下手でした。


それにしても今日は寒かったです。
真冬並みの寒気が、ここ瀬戸内にまで流れ込んでいるそうで、冷たい風が吹き抜ける一日。
つい3〜4か月前はあんなに暑かったのに・・・。
日本にはダイナミックな四季の移り変わりがあることをありがたく思うべきでしょうか。

さて、「四季」をテーマにした曲はたくさんありますが、名曲なのに意外と知られていないのが

 チャイコフスキー/「四季」Op.37b

12曲からなるピアノ曲集です。

1876年、ペテルブルクの月刊誌「ヌヴェリスト」が1月号から12月号まで、各月にちなんだ詩とピアノ小品を掲載することを計画。
詩はプーシキン、トルストイなど有名詩人の旧作を転用しましたが、曲はチャイコフスキーに毎月新作の作曲を依頼しました。
チャイコフスキー正直、「かったるい仕事やな〜」と思いましたが、報酬が多額だったことに心を動かされ(ホントよ)、引き受けました。

チャイコフスキーは召使に、「ユー、毎月の締切が近づいたらミーに思い出させるんだよ」と頼み、
召使に「ご主人様、そろそろ・・・」と言われて初めて作曲に取り掛かったそうです。

そんな力の抜けた作曲態度が良かったのでしょうか、結果的にリラックスした佳曲が揃うこととなり、
作曲者が予想もしなかったほどの好評で迎えられました。
現在もチャイコフスキーのピアノ独奏曲の代表作となっています。

ロシアの「四季」なので、タイトルが日本人の感覚とはちょっと違っていて、五月「白夜」、七月「刈り入れの歌」などは「あれ?」と思いますが、
とにかく美しい曲ばかり、なかでも6月「舟歌」は絶品です。
全編にほのかな温かさが漂い、冬に聴くとひときわ心に沁みる気がします。

 6月「舟歌」
 

ヴラディミール・アシュケナージの演奏は柔らかく優雅。
アシュケナージの中庸で温厚な演奏スタイルは、ショパンやベートーヴェンだとときに物足りないこともありますが、
この曲集では、家庭的な暖かさ、繊細な抒情性が香り立つようで、まさにジャストフィット。

なおCDでは「四季」の前に、チャイコフスキーのピアノ小品が5曲収録されています。
これらもロマンティックでしっとりした作品ぞろい、最初から聴くと、「四季」に行きつく前に眠りこけてしまいそうな美しさです。

 少し踊るようなポルカ
 


(2014.12.13.)

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