エリザベス・ウィルソン/ロストロポーヴィチ伝
巨匠が語る音楽の教え、演奏家の魂
(木村博江・訳 音楽之友社 2009年)



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 ショ、ショック・・・・・・!

またやってしまいました・・・。
弦を切ってしまったのです。

 新しい弦ですよぉ!!!!

約10ヶ月ぶりでチェロの弦を張り替えるべく、一番上のA線を張って、音を合わせるためにペグを締めていると

 ベチッ!

大きな音がして、はじけ飛びました。
ああ、ウン千円が飛んでいった〜〜〜(号泣)。

じつは張替え中に弦を切るのは2回目。
「前にも切ったから気をつけないとなあ」
と自分に言い聞かせながらやっていてベチッ!
世をはかなみたくなります。

これまで4〜5回しか弦を交換したことがないのに、すでに2回も切るとは・・・。
ありえないほどの高打率ではないでしょうか?!(全然自慢にならん)

仕方なく古い弦を張り直し、ネットで新しい弦を注文しました。
はあ、悲しい・・・。


最近の愛読書のひとつ、エリザベス・ウィルソン/ロストロポーヴィチ伝 でも読んで気を取り直しましょう。

ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(1927〜2007)は、言わずと知れた偉大なチェロ奏者。

著者のエリザベス・ウィルソンは駐ソ連英国大使令嬢で、
1964年から71年にかけてモスクワ音楽院でロストロポーヴィチに師事したチェリストでもあります。
家族ぐるみの付き合いで、亡命後のロストロポーヴィチが最初に身を寄せたのも、イギリスのウィルソン家だったと言います。

この本は、 ロストロ本人や、ほかの弟子たちから膨大な聞き取りをしたうえでまとめられた、本人公認の半生記。
描かれるのはロストロポーヴィチの幼年期から、1974年にソ連を亡命するまでです。

ロストロポーヴィチがいかに天才的音楽家で、人道主義者で、正義と信念の人であるかが、これでもかとばかりに強調されています。
いや、もちろん実際にその通りなのでしょうけれど。
存命中に本人公認で書かれた本ですから、そりゃ滅多なことは書けませんよね〜、と思う私はへそ曲がり。
なお、出版はロストロの死の直前でした。

しかしそれでも滅法面白く興味深い内容です。
プロコフィエフ、ショスタコーヴィチ、ブリテンらとの温かい交流、ソビエト共産党との息詰まるような対立・駆け引き、
そして厳しくも愛情にあふれたモスクワ音楽院第19番教室でのレッスン。
弟子たちの肉声がそのまま掲載され、偉大なるチェロ教師・ロストロポーヴィチの姿がくっきりと描き出されるのが読みどころ。
身の毛のよだつような厳しいレッスンの内容は読んでのお楽しみです。

「曲の解釈」という章では、数々のチェロの名曲をどう演奏すべきと考えていたか明かされ、
CDで鑑賞するときの良い解説になりそうです。

「弦を張り替える時のコツ」なんかも書いておいてくれると助かったんですが・・・。

(2013.10.26.)


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