シマノフスキ/交響曲第3番「夜の歌」ほか
(サイモン・ラトル指揮 バーミンガム交響楽団・合唱団 ジョン・ガリソン:テノール )



Amazon.co.jp : Szymanowski: Stabat Mater, Symphony No.3


「20世紀3大後期ロマン派諸行無常的耽美的東洋趣味的声楽つき交響曲」
それは、

  マーラー「大地の歌」(1908)

  シマノフスキ「交響曲第3番・夜の歌」(1916)

  ツェムリンスキー「抒情交響曲」(1923)


であるというお話を、前回いたしました。
ここ、試験に出ますからね!
前回「抒情交響曲」をとりあげたので、イキオイでシマノフスキ「交響曲第3番・夜の歌」もいっちゃいましょう。

カロル・シマノフスキ(1882〜1937)は、ポーランド貴族の家系に生まれ、ワルシャワ音楽院の院長も務めた偉い人。
もっとも音楽院を改革しようとして派閥争いに敗れ解任、失意のうちに世を去ったそうですが・・・。


「交響曲第3番・夜の歌」は、
13世紀ペルシャの詩人ジャラール・ウッディーン・ルーミー(1207〜73)の詩(のポーランド語訳)をテキストにした30分弱の交響曲。
続けて演奏される3つの楽章からなり、テノールまたはソプラノの独唱と混声合唱を伴います。

非常に独創的な響きに耳を惹かれます、もっていかれます。
神秘的というか瞑想的というか宇宙的というか・・・、
よく熟れたドビュッシースクリャービンを軽く混ぜ合わせ、マーラーを適量加え、軽く炒めた後でストラヴィンスキーを振りかけた感じ。
玄妙で観念的で複雑な響きに、ときに眩暈をおぼえるほど。

  第1楽章 (テノール独唱版)
 

第1楽章の歌詞の内容は、

 おお、親愛なる友よ 今宵は眠るな
 我々は夜にさいなまれ、君は精霊となる
 君の瞳からまどろみを拭い去れ
 今宵、大いなる秘密が明かされよう
 君は天空のジュピター 鷲の飛翔のように星空を回り
 今宵、精霊たちの英雄となる


・・・すいません、ちょっと何言ってるのかわかりません。
ルーミーは、神秘主義の詩人と呼ばれ、瞑想と旋舞(ぐるぐる廻り続ける踊り)により超越意識に至るという人で(要するに目が回ってるんじゃ?)
それは旋回舞踊(セマー)として、現在も行われているそうです。

 (なお、廻っているのは基本男性です)

 「いいとか悪いとかの観念の向こうに別の世界がある あなたとはそこで会おう」

なんて言葉も残しています。
でもそこってどうやったら行けるんですか?


第2楽章は、管弦楽と歌詞のない合唱による活発な楽章。
独奏ヴァイオリンがオリエンタルな旋律を歌い、合唱が神秘性を盛り上げます。
ファンタジックでめくるめく、夜の音楽。
作曲者は音楽で宇宙を描こうとしているのかな〜。

 


第3楽章で静かに独唱が回帰、大音響のクライマックスをつくり、ゆっくりと虚空の彼方へ消えてゆきます。

 

 世界はあまねく眠りに落ちた
 夜のとばりの中 私と神のふたりだけ
 なんという叫び! 歓喜が巻き起こる 輝く翼をもつ真実が夜を舞う
 親愛なる友よ 今宵は眠るな 眠ればすべては永遠に失われよう
 地上の目抜き通りは沈黙しているが 星々の大通りは輝いている
 しし座 オリオン座 アンドロメダ座 真紅に輝く水星よ
 土星は運命の力と結びつき 金星は金色の霧雨に浮かぶ
 沈黙が私の舌に枷をかける しかし今宵の私は言葉なしで語るだろう


・・・すいません、やっぱり何言ってるのかわかりません。
でも絢爛豪華で荘厳で神秘的で透明感もある、チョー素晴らしくも独創的な名曲です!

独唱はテノールまたはソプラノですが、なぜかテノールを起用している演奏が多いです。
上に揚げたサイモン・ラトル盤も、テノールによる演奏(素晴らしい名演です)。
2017年現在現在入手可能なCDで、ソプラノが歌っているのは、下のフェドセーエフ盤だけみたいです。
ソプラノで聴きたい方はこちらをどうぞ。

(2017.10.24.)

ソプラノを起用したフェドセーエフ盤


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Tower@jp : Szymanowski: Symphony No.3; Weinberg: Symphony No.6 etc



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