オッフェンバック/チェロ二重奏曲全集(7枚組)
(ジョヴァンニ・ソッリマ、アンドレア・ノフェリーニ:チェロ)



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Tower : オッフェンバック・チェロ二重奏曲全集

「天国と地獄」「ホフマン物語」などのオペラで有名なジャック・オッフェンバック(1819〜80)は、もともとチェリストでした。
1835年、16歳でオペラ・コミック座のオーケストラ奏者に就任、そのかたわらチェロ教師としてレッスンも引き受けました。
レッスン教材として、チェロ二重奏曲をたくさん書きました。

 初心者に捧げるとてもやさしい3つの二重奏曲Op.19
 3つの二重奏曲Op.20
 3つの協奏的二重奏曲Op.21
 3つの協奏的大二重奏曲Op.34
 6つの二重奏曲Op.49
 学生向けの6つの二重奏曲Op.50
 愛好家に捧げる3つの二重奏曲Op.51
 3つの華麗な二重奏曲Op.52
 3つの二重奏曲Op.53
 芸術家に捧げる3つの二重奏曲Op.54
 12の練習曲(二重奏曲)Op.78


タイトルから想像できるように、作品番号の順にだんだん難しくなります。
1枚物の選集CDはすでに持っていたのですが、先日アマゾンの密林を逍遥していたときに、出会ってしまいました。

 オッフェンバック/チェロ二重奏曲全集(7枚組)

 な、ななまいぐみ・・・。

この私が「全集」という言葉に極端に弱いことを知っての狼藉かっ!
それでなくても、収納しきれずその辺に転がってる「野良CD」の増加に頭を悩ませている今日この頃なのにっ!

 というわけで買いました(←え)。

作品19の「初心者に捧げるとてもやさしい3つの二重奏曲」は、こんな感じ。

 第1番 第1楽章
 (伸びやかで朗らかな春のような曲)

おそらくは生徒が上の声部を弾き、オッフェンバック先生が下を担当したのだと思われますが、「初心者に捧げるとてもやさしい」ですかあ・・・。
これが弾けたらすでに「初心者」じゃない気がするのは私だけでしょうか。
たぶん私なら1日で破門です。

「学生向けの6つの二重奏曲Op.50」になると、

 第6番 第1楽章
 

さらに複雑になると同時に、鑑賞音楽として立派に成立しています。
チェロ2本だけとは思えない重厚で充実した響きです。
学生さん、頑張ってくださいね〜。
しかしさすがはオペレッタの巨匠、洗練されたメロディが耳に心地よいです。

「3つの二重奏曲Op.53」は、チェロの朗々たる歌、堅個な構成の傑作ぞろいです。

 第1番 第1楽章
 (流れるようなメロディが湧き出してくる名曲!)

 第2番 第1楽章
 (疾走感と緊張感に満ちたアレグロ)

「芸術家に捧げる3つの二重奏曲Op.54」になると、もう「二つのチェロのためのソナタ」と呼んでも差し支えないような気が。

 第1番 第1楽章 
 (13分に及ぶ堂々たるソナタ・アレグロ!)

コンサートで弾いたらウケること間違いなしですが、考えてみるとチェロ二重奏の演奏会なんて、滅多にないですよね・・・。

そして最後の「12の練習曲(二重奏曲)Op.78」は、もう超絶技巧の連続であります。

 第8番
 (急速なアルペジオの練習のようです)

 第10番
 (重音の練習曲かな?)

気鋭の作曲家としても知られるチェリスト、ジョヴァンニ・ソッリマと、アンドレア・ノフェリーニによるこのボックスセットは、
たんなる練習曲として顧みられることのなかったこれらの作品群に新たな光を当てることになるでしょうか。
チェロの音がお好きな方であれば、お部屋にBGMとして流しておくのに最適なアルバムだと思います。

(2024.03.10.)


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オッフェンバック/二つのチェロのための組曲 作品54より

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