ペッテション=ベリエル/
交響曲第5番「孤独」&ヴァイオリン協奏曲
ミハイル・ユロフスキ指揮 ノールショッピング交響楽団 ウルフ・ヴァーリン(Vn)
Amazon.co.jp : Wilhelm Peterson-Berger: Symphony No. 5 "Solitudo";
Violin Concerto
またまた、「誰が聴くんだこれ?」みたいなCDのご紹介ですが、
良いのです良いのです、Going My Way なのです。 完全に開き直っております。
ウィルヘルム・ペッテション=ベリエル Wilhelm Peterson-Berger(1867〜1942)、スウェーデンの作曲家。
初聴きです。よろしくおねがいしますです。
英語読みなら、ピーターソン=バーガーですがペッテション=ベリエルとは。
こ、これがスウェーデン読みなのかっ?!(←なにを興奮している)
ほとんど知られていない作曲家ですね。 私も最近まで知りませんでした。
長いので、「PB」と表記いたします。 「PLAYBOY」かい。
交響曲第5番「孤独」(1933)は、PB最後の交響曲。
タイトルからして、きっと冷たく厳しい、荒涼たる音楽に違いありません。
「悲愴交響曲」と「南極交響曲」を足して二で割って、
雪を降り積もらせて凍結させたようなブリザード音楽に間違いないでしょうと、期待にワクワクしながら聴いてみると(どういう趣味だ)、全然違いました。
第1楽章
冒頭、ホルンに登場する主題、いきなり民謡風で人懐こいこと人懐こいこと。
なんじゃあ、こりゃあ? ・・・しかし、・・・なんだか、あったかい雰囲気ですなあ。
「孤独」というより「憧れの田舎で悠々自適の一人暮らし」という感じですがな・・・(「サライ」かい)。
ロマン派全開、前衛的なところはなく、映画音楽のように美しい楽章。
1930年代の音楽とは思えませんが、なかなか良いですねえ。
第2楽章スケルツァンドは中間部のピアノの使い方が面白くて、ヒョウキンな感じがグッドです。
雪の精が遊び戯れているようで、これまた全然孤独ではありません。
第2楽章
第3楽章アンダンテ・トランクイロは多少寂しげですが、ロマンティックで夢見がちな曲。 キレイですね。
第4楽章は、北欧舞曲風フィナーレ、元気ハツラツ・乱痴気騒ぎ系。
・・・って、いったいどこが「孤独」やねんっ!!!(←また興奮している)
第4楽章
なぜにこういうタイトルをつけたのか、解説を読んでもよくわかりませんでした(英文だし)。
でも、つい口ずさんでしまいそうなメロディが、あちこちにちりばめられているのが魅力。
そしてPB唯一のヴァイオリン協奏曲(1928)、これは名曲!
構成はシベリウスのヴァイオリン協奏曲にクリソツです。
第1楽章が非常に長いこと、展開部の中にカデンツァが組み込まれていること、第3楽章が荒々しいロンドであることなど、
かなり影響を受けているように思われます。
しかし実はPB氏、音楽評論家としてシベリウスの音楽をこき下ろしていたと言いますから、なんだかよくわかりません。
なお音楽自体は、春の陽光に溶けてやわらか〜くなったシベリウスに、砂糖をひと振り、
お好みでシロップをかけて召し上がれ、という感じの、浪漫ダダ漏れ、夢見る耽美軟弱系音楽です。
いやあ、個人的にはこういうの大好きです。
冒頭、重々しい和音に続き、ソロに提示される哀切で気高い第一主題に、私のハートはいきなりわしづかみ。
続いて木管に出る経過主題のキャラ立ってること。 たおやかな第二主題もロマン派ド真ん中。 素敵過ぎます。
素晴らしい! もっとやれー!(←まだ興奮している)
第1楽章 (これは素敵な楽章!)
交響曲第1〜4番も、これから聴いていくことにいたします。
(07.3.3.)
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