シサスク/銀河巡礼(第1集:北半球の空、第2集:南半球の空)
(ラウリ・ヴァインマー:ピアノ)

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エストニアの作曲家、ウルマス・シサスク氏(1960〜2022)が、2022年12月17日に62歳で亡くなったそうです。

シサスクの代表作といえば銀河英雄伝説・・・じゃなくって「銀河巡礼」です (それしか知らん)。
夜空に輝く星座をテーマにしたピアノ組曲です。
シサスクは音楽だけでなく天文学もかなり専門的に学んだそうで、他にも星にちなんだ作品が多いらしいです。

 「銀河巡礼」第1集 第3曲「いるか座(結合)」 (神秘的な響きの中で幻想がきらめく・・・)
 

星にまつわるピアノ曲と言えば、吉松隆「プレイアデス舞曲集」ジョージ・クラム「マクロコスモス」モーツァルト「きらきら星変奏曲」(←ちょっと違う)などが思い浮かびます。
シサスクは、吉松隆ほどポップではなく、ジョージ・クラムほどおどろどろしくもなく、中庸な現代音楽(なんじゃそりゃ)って感じ。
美しく聴きやすい曲が多く、基本的に調性音楽の範疇にあるようです(ときどき内部奏法などを用います)。

 「銀河巡礼」第1集 第9曲「うさぎ座(孤独)」 (シンプルだけど可憐な魅力のある曲)
 

星座名のあとについてるサブタイトルは曲の性格を表しているようですが、たとえば「こと座」(幸福)・・・この曲そんなに幸福そうですか?
なにか悩みがあるようにも聴こえますが・・・といろいろ突っ込みながら聴くのもいとをかし。

 「銀河巡礼」第1集 第15曲「こと座(幸福)」 
 

第1集「北半球の空」は1980年から87年にかけて書かれ、全29曲からなります。
第2集「南半球の空」は1994年から95年に書かれ、26曲からなります。
夜、暗い部屋でひとり静かに聴いていると精神的に軽くトリップしそうになる、夢幻と抒情の世界(ちょっと危ない)。
魔法の鏡をのぞき込むような感覚。

 「銀河巡礼」第2集 第5曲「ケンタウルス座(啓発)」 (ほぼ単音のシンプルな曲ですが、ピアノの弦を触る内部奏法があります)
 (このCDの演奏ではありません)

 「銀河巡礼」第2集 第22曲「インディアン座(幻影〜踊る小人たち)」 (ドビュッシー風の軽やかな小曲)
 (このCDの演奏ではありません)

 「銀河巡礼」第2集 第25曲「生命の循環・とけい座(膨張)」 (低音の暗い響きで始まりますが、最後はロマンティックかつ壮大に盛り上がります)
 (このCDの演奏ではありません)

シサスクはこの後、第3集、第4集を書き、全88星座をコンプリートしたそうです(マゼラン星雲とか、プレアデスとか、星座ではない曲もあるため総曲数は88を越えます)。
ところで星座って全部で88あるんですね。
ピアノの鍵盤も88ですが、なにか関係が・・・ないですよね。
そういえば四国霊場も88か所です(←それ絶対関係ない)。

 「銀河巡礼」第2集 第24曲「かじき座(霧の中の喜び)」
 (作曲者自身の演奏)

CDは若干入手困難だったりするようですが、You Tubeでいろいろ聴けます。

それにしても62歳はまだまだ若い・・・。
ご冥福をお祈りいたします。

(2022.12.29.)

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