シベリウス/ピアノ独奏曲全集(5枚組)
(Annette Servadei 独奏)



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シンガー・ソングライター、谷山浩子「フィンランド」という曲があります。

 谷山浩子「フィンランド」
 

本人の作曲ではなくてモンティ・パイソンのカヴァーです。

 ♪フィンランド フィンランド フィンランド
  ロシアの近く 確かあのへんの どこかにある
  フィンランド フィンランド フィンランド
  どこかにある国
  ベトナムからは たぶん遠くて
  日本からも遠い そんな感じの国

日本語が分かるフィンランド人(どれだけいるんだ?)が聞いたら怒り出しそうな歌。
でも無邪気な声で能天気に歌われると毒気を抜かれます。

どこかにある国フィンランドが生んだ天才作曲家ヤン・シベリウス(1865〜1957)。
ヒンデミット、シェーンベルクと並んで、音楽史上の三大禿頭と呼ばれる巨頭 巨匠です(嘘です)

シベリウス ヒンデミット シェーンベルク


異様なまでのインパクトですな。
ちなみに次点はブルックナーです。




シベリウスは7曲の交響曲、ヴァイオリン協奏曲などで有名ですが、
じつは私はシベリウスの交響曲を若干苦手としております。
どのくらい苦手かと言うと、納豆ご飯くらい(わからんって)
食べろと言われれば食べますが、自分から進んで食べようとは思わないレベルです。
あ、でもヴァイオリン協奏曲は大好きです。

さて、そのシベリウス、ピアノ曲はCD5枚分ほど残しています。
ソナタが1曲、ソナチネが2曲あるものの、
ほとんどは肩のこらない可愛らしい小品集です。
え、顔からは想像もできないって?
シンプルでナイーヴな音運び、叙情的で清冽な響きが、なかなかに素敵ですよ。
秋に聴くのにふさわしい音楽です。
BGMとして聞き流していると、ときどきはっとするような個性的な響きに驚かされます。

シベリウス自身は、ヴァイオリンを得意とし、
本格的にピアノを練習したり、人前で演奏したことはなかったそうです。
それどころかは50歳ごろまで自宅にピアノを持っていなかったので、
これらのピアノ曲のほとんどはピアノを使わずに机上で作曲されたそうです。
にもかかわらずの名曲の数々、
「凄い!」と言うべきなのか、「横着者!」と言うべきなのか。
しかも多くは、手っ取り早く収入を得るために作られたもの・・・
と言ってしまえば未も蓋もありませんが、
それでも名曲を山ほど書いてしまうのが天才の天才たる所以。

有名どころとしては、5つの小品 作品75「樹の組曲」から第5曲「樅の木」
ウィンダムヒル・レーベルからリリースされてもおかしくない(?)ピアノ・バラードの名品です。

 「樹の組曲」作品75より第5曲「樅の木」
 

この全集、もとはオリンピア・レーベルから発売されていたもの。
レーベルの倒産により入手不能になっていたのですが、
2007年、作曲者の没後50年を記念して、格安で再発されました!
ありがたや ありがたや。

余談ですが、シベリウスの奥さんアイノ・シベリウスは、
モデル顔負けの美人です。

 10の小品 作品24 第5曲「ワルツ」
 (男性的で荒っぽいワルツ)

(08.10.3.)


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シベリウス/ヴァイオリン協奏曲&シュニトケ/合奏協奏曲(クレーメル)



アイノ・シベリウス



なお、「全曲はちょっと」という方にはこれがオススメ



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