ケイト・モートン/秘密
Kate Morton/The Secret Keeper(2012)
(青木純子・訳 東京創元社)

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1961年、イギリス、サフォーク州。
16歳の少女ローレルは、母・ドロシーが、庭に現れた見知らぬ男を刺し殺すのを目撃する。
その男は他所者で、近所で頻発していたピクニック荒らしの容疑者だった。
男が母に襲いかかろうとしたというローレルの証言もあり、母は正当防衛が認められた。
しかしじつはローレルは、男が母に「やあ、ドロシー、久しぶりだね」と声をかけたのを聞いていた。
偶然現れた強盗ではなかったのだ。 だがローレルは口を噤んだ。
 時は流れて2011年、イギリスの国民的女優となったローレル。そして母は90歳で死の床にあった。
ローレルはずっと忘れようとしてきた事件の真実と向き合い、母の過去を探りはじめる。

ケイト・モートン最高傑作!


今年のゴールデンウィークの4連休(5/3(土)〜5/6(火))は、ほとんど出歩かず、もっぱら家で過ごしました。
スポーツジムには2回行きましたけど(←車で15分じゃ!)。
長女が3日間ほど寄生じゃなかった帰省してきまして、1か月ぶりに家族4人が顔を合わせました。
嬉しいものですね、家族が揃うのって。
3日で大学に戻って行ったから、なおさら良かった・・・・・・というのは内緒。

そう言えばゴールデンウィークには、家族の絆を見事に描いた小説を読みました。

「リヴァトン館」 「忘れられた花園」に続く、ケイト・モートン翻訳第3作「秘密 (The Secret Keeper)」


 大傑作であります。


冒頭、大好きな母・ドロシーが見知らぬ男を刺し殺すのを少女が目撃するショッキングな場面から始まります。
少女・ローレルの証言もあり正当防衛として処理されますが、じつは彼女は母を守るために小さな嘘をついたのです。
50年後、死の床にある母を前に、真実を調べる決意をするローレル
それは、とりもなおさず愛する母の秘密を暴くことでもあり・・・・・・。


ケイト・モートンの常で、現在と過去がめまぐるしく交錯しますが、読みにくくはありません。
語り口の巧みさですね。
秘密のカギは1941年、ドロシーが小間使いとして働いていたロンドンに。
生まれ育った家の物置をひっくり返し、インターネットで検索し、図書館で調査するローレル。
戦時下のロンドンを背景に、徐々に全貌を現してくる真実とは・・・・・・。
複雑なジグソー・パズルが完成してゆくようなわくわく感を満喫しながら読み進めました。
ドイツ軍の空襲が繰り返される1941年のロンドンが重要な舞台ということで、
昨年読んだコニー・ウィリス「ブラックアウト」「オール・クリア」を思い出しました。

じつは物語自体の「仕掛け」にはかなり早い段階で目星がつくのですが、
ストーリーが魅力的で華やかで、最後まで退屈することなく読了。
最後の最後で細かい伏線をきっちり回収して、完璧につじつま合わせる鮮やかさはまさにジグソーパズル。
読後感も過去2作と比べて格段に良く、親子の絆、夫婦の絆、家族の絆の美しさに、温かく包まれるような気持ちになりました。

最高に素晴らしい読書タイムを提供してくれました。
しかし考えると登場人物はみな水もしたたる美男美女
ローレルは大女優だし、母ドロシーもすこぶるつきの美人。
若きドロシーの友人らしいヴィヴィアンは上流階級の美しい若妻、その夫・ヘンリーもハンサムな売れっ子作家。
ドロシーが小間使いとして仕える老婦人は若い頃はロンドン社交界の花形だったし、ドロシーの恋人・ジミーも爽やかなハンサムボーイの好青年ときた!
つまり戦時下のロンドンを舞台に見目麗しい男女が繰り広げるきらびやかなメロドラマなのです。
メロドラマですが完成度は折り紙つき、見事に装飾された壮大な大伽藍を思わせる完璧な長編エンタテインメント小説でした。

(2014.05.07)

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