コニー・ウィリス/ブラックアウト オール・クリア
(大森望・訳 早川書房 2012、2013)

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<ストーリー>
2060年、オックスフォード大学の史学生三人が、第二次大戦下イギリスの現地調査に送りだされた。
メロピーは郊外の屋敷のメイドとして疎開児童を観察し、
ポリーはデパートの売り子としてロンドン大空襲下の市民生活を体験し、
マイクルはアメリカ人記者としてダンケルク撤退を取材。
三人は調査を終了し未来に帰ろうとするが、帰還のための「降下点」がなぜか開かない。
このままでは、過去に足止めされてしまう!
ドイツ軍の空襲に脅かされるロンドンで、未来に帰る手立てを必死に捜す三人の運命は?


ウィークデイは、ほぼ職場と自宅の往復。
土日は基本的に家でゴロゴロ・・・・・・の私であります。

旅行したいとか遠出したいとか、あまり思いません。
いわゆる出不精。 デブ症ではありません。

なので、コニー・ウィリス「ブラックアウト」「オール・クリア」の主人公たちには頭が下がります。
若い身空でなにも好き好んで空襲真っ只中のロンドンに行かなくてもと思いませんかそこのあなた。
案の定、戦乱に巻き込まれて予定は狂いまくり。
そのうえ帰還予定日が来ても「降下点」が開かない!
このまま1940年のロンドンで、空襲から逃れながら生きてゆかなければならないのか・・・?

・・・という、タイムトラベル物にはありがちなパターン。
「ドゥームズデイ・ブック」 「犬は勘定に入れません」につづく、オックスフォード大学史学部シリーズの長編第3作です。

この作品の特徴は、

  とにかく長い!


これに尽きます。
だいたいコニー・ウィリスの長編はどれも長いんですが、これは最大級。
いままで一番長かったのは「航路」ですが、あっさり記録を塗り替えましたね。
「なんでもいいから長い小説が読みたい!」という人(いるのか?)には、絶対オススメです。

 ウィリス得意のドタバタやすれ違いも、これでもかというくらい繰り返され、
 好きな人にはたまりませんが、慣れない人にはちょっとキツイかも。

小説では三人が送り込まれたのは1940年ですが、なぜか1944年や1945年の情景がフラッシュバック的に挿入され、
読者の頭を混乱させてくれます。
もちろん、最後にはきちんと謎解きされます。
ただし仕掛けのレベルはタイムトラベルものなら想定の範囲内、それほど驚くようなものではありません。

味わうべきはむしろ、戦時下のロンドンの生活描写でしょうか。
空襲のさなかでも不屈の根性でデパートを営業したり、
セント・ポール寺院を消失から守るための奮闘が生き生きと描かれたり。
もはやSFというより、歴史小説のおもむき。

 そうそう、脇役ですが老優サー・ゴドフリーはよかったなあ、あんた最高だよ。

戦争自体は非常に肯定的に描かれていて、「反戦」という考えは全く出てきません。
まあ戦勝国だから仕方ないのかもしれませんが・・・、
アメリカ人ってのはその辺シンプルにできてるんですかね(コニー・ウィリスはアメリカ人です)
エンタテインメントとして、あまり深く考えず読むのが吉でしょう。

あと、ダンワージー教授の部下とか学生には絶対なりたくないものだ、と心の中で誓いましたね。

しかしそれにしても長かった・・・。

(2013.7.7.)



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