ルネッサンス/シェエラザード夜話(1975)
Renaissance/Scheherazade and Other Stories
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Tower@jp : Scheherazade & Other Stories (hybrid SACD)
<収録曲>
トリップ・トゥ・ザ・フェア
ハゲタカは飛ぶ
オーシャン・ジプシー
組曲「シェエラザード夜話」
クラシック音楽で「シェヘラザード」といえば、リムスキー・コルサコフの交響組曲。
絢爛豪華なオーケストレーション、エキゾティックで魅惑的なメロディ、泣く子も黙る大傑作です。
さらにクラシックに詳しい人なら、初期のモーリス・ラヴェルに
管弦楽のための「シェヘラザード序曲」と、歌曲集「シェヘラザード」があることをご存知かも。
どちらも忘れられるにはしのびない名品であり、とくに歌曲集の儚い官能性、繊細なエキゾチシズムには耳を奪われます。
しかし、それくらいしか思いつきません。
有名なストーリーのわりに、オペラやバレエを書いた作曲家はいないようです。
リムスキー・コルサコフの名曲の存在が大きすぎるのか。
そこで、クラシック以外に目を転じると、
ルネッサンス/シェエラザード夜話(1975)
という傑作があるじゃないですか。
リムスキー・コルサコフの向こうを張るその意気や良し。
ルネッサンスといえば、当HPでもはるか昔に「Ashes Are Burning(燃ゆる灰)」をご紹介したことがあります。
ロックでありながらオーケストラをガンガン鳴らして、スケールの大きな大曲を量産するグループ。
一般にはプログレッシヴ・ロックに分類されていますが、むしろ「シンフォニック・ロック」と呼ぶべきかも。
クラシック音楽ファンの琴線に響くアルバムが多く、ふと気がつくとほとんどのアルバムを揃えちゃってます。
まさしく金銭に響いてます・・・・・・。(おい、座布団全部もってけ〜)
「シェエラザード夜話」は、これをルネッサンスの最高傑作にあげる人も少なくない名盤。
1曲目「トリップ・トゥ・ザ・フェア」
ピアノをフィーチャーした緊張感漂う4分近い長大なイントロに続き、アニー・ハズラムお姉さまの張りのある歌声が登場した瞬間、胸がキュンキュンします(←きもい)。
「はるばる市場に出かけたけれど、そこには誰もいなかった・・・」
ドラマティックなサウンドをバックに、シュールでファンタジックな世界が展開します。
トリップ・トゥ・ザ・フェア
2曲目「ハゲタカは飛ぶ」
ストレートなポップ・ロック。メリハリの利いた短い曲。
「シンドバットの冒険」に出てくる巨鳥ロックを連想、リスナーを徐々にシェエラザードな気分にさせる巧みな構成とみたっ!
3曲目「オーシャン・ジプシー」
ルネッサンスを代表する名曲のひとつ。
というか個人的には「超名曲」と思ってます。
哀愁に濡れたメロディ、隠喩に満ちた歌詞(何度読んでも意味わからん)、控えめなストリングスをバックにしたスケールの大きな展開。
"The sun has made a thousand nights for you to hold"なんてフレーズが織り込まれ、さりげなく「千夜一夜物語」を連想させます。
心憎いなあ〜。
しかしホントにどういう意味なんだろこの曲・・・。
オーシャン・ジプシー
そして24分を超える組曲「シェエラザード夜話」
フル・オーケストラを存分に鳴らし、合唱まで登場、ほとんどクラシックです。
リムスキー・コルサコフがワン・フレーズだけ遠慮気味に引用されます(控えめなオマージュ)。
スケールの大きさ、巧みな場面展開、楽曲自体の素晴らしさ、そして清く正しいアニー・ハズラムお姉さまの女神的ヴォーカル。
全てが完璧です。
「完璧すぎて、破綻が無さ過ぎて、面白くない!」
と、言いがかりをつけたくなるほど。
クラシック・ファンのかたにも、ぜひぜひ聴いていただきたい名作アルバムです。
シェエラザード夜話
(201.7.5.)
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