ルネッサンス/プロローグ
Renaissance/Prologue

(1972)




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2019年が幕を開けました。
ところで「2019」という数、パッと見には素数っぽいですが、じつは普通に「3」で割り切れるんですね。
さて今年はどんな年になるでしょうか。

新しい年の幕開け、久しぶりにこのアルバムを聴きました。

 ルネッサンス/プロローグ(1972)

ルネッサンスの実質的ファースト・アルバムであり、至上の歌声・女神的ヴォーカルのアニー・ハズラムが初めて参加したアルバムです。
ファースト・アルバムとはいえ、オリジナリティあふれる「クラシカル・プログレッシヴ・ロック」はすでに完成の域。

第1曲「プロローグ」、ジョン・タウトのピアノ演奏によるショパン「革命のエチュード」で幕を開けます。
「え、なにこれ? ロックのアルバムじゃないの?」
と思っていると、やがてベースとドラムスが参加、小気味よく推進するビートに乗って、アニー・ハズラムの歌声が。
歌詞はなくスキャットですが、言葉以上に雄弁。
これぞ「ルネッサンス・サウンド」、力いっぱい大仰で浪漫で幻想的でゴテゴテで、「そこまでやらいでも」と言いたくならなくもありません。
これが気に入るならアナタは立派なルネッサンス・ファンですが、逆に「ちょっとついていけん・・・」という人がいても不思議はないです。

 

2曲目「キエフ」は、美しいバラード。
やはりピアノのイントロで始まり、哀愁のメロディがコーラスで歌われます。
中盤からテンポを速め、ピアノのパッセージを核とした激しいインストルメンタル部分となり、ラフマニノフ「前奏曲Op.3−2」が引用され、
ふたたびコーラスに戻って終わります。
そういえばルネッサンスって、こういうパターンの曲が多い気がします。

 

3曲目「Sounds of the Sea」は絶美の名曲。
前の2曲からガラリと雰囲気が変わり、シンプルなアレンジ。
ピアノ・ソロを従えたアニー・ハズラムのクリスタル・ヴォイスをただ堪能しましょう。

 

ほかもすべて名曲・名演ですが、最後(6曲目)に収められた10分を超える「ラジャ・カーン」が大好き。
これはオリエンタルでエキゾティックなインストルメンタル・ナンバーです(とはいえヴォーカルはスキャットで大活躍)。
長いギター・ソロで始まり、アニーの地声を効果的に用いたエスニックなスキャットに、シンセサイザーも登場。
ラヴェル「ボレロ」ショスタコーヴィチ「交響曲第8番・第3楽章」を巧みに引用しながら中近東っぽいムードで盛り上がり、華々しく掛け合って一気呵成のエンディング。

 

いやー、テンション高いっす、コッテリです、熱いっす。
こういう音楽をつくるアーティスト、現代にはもういません。
1970年代ならではの雰囲気に浸れる傑作アルバムです。

(2019.01.08.)

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