レベッカ・クラーク/ピアノ三重奏曲
(Clementi Trio)


(廃盤)

先日、レベッカ・クラーク「ヴィオラとピアノのためのソナタ」を聴き、
あまりの傑作にヴィオラで頭をぶん殴られたような衝撃を受けた私(←楽器壊れるよ)。
もうひとつの代表作である「ピアノ三重奏曲」(1921)もぜひ聴いてみたいと思いました。

じつはこの曲のCD以前から持っておりまして、クレメンティ・トリオの演奏するファニー・メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲のカップリング曲でした。
でもいままでまともに聴いたことがありませんでした。

聴いてみました。 (もっと早くに聴いとけ)

 名曲でした!!

エンドピンでハートを串刺しにされたような衝撃を受けました (←死ぬよ)。


第1楽章 モデラート・マ・アパッシオナート
冒頭、叩きつけるような主題にガツンとやられます。
何かを警告するような六連符の同音反復!!
ただならぬ焦燥感、悲しみ、怒りが溢れ出し、世界に向かって叫んでいるかのようです。
この六連符動機が楽章全体を支配します。
ヴィオラ・ソナタといい、この曲といい、レベッカ・クラークは冒頭でいきなり聴く者のハートをグワシッと掴みに来ますね。
2:00からひんやりとした第二主題、夜のムードです。
熱い第一主題との対比が鮮やかで、いったん激しく盛り上がり、ふたたび静まってゆきます。
3:41から展開部、第一主題が執拗に展開され、ついにはヴァイオリンとチェロがフォルテで六連符を連打します。
5:15から再現部、第一主題がチェロに現れ、ヴァイオリンに受け渡され、徐々に不穏な空気と緊張感が高まります。
6:22から第二主題の再現、ちょっと穏やかな雰囲気になり、7:40からのコーダでは第一主題が戻ってきますが、
言いたいことを言って満足したのか、そのまま静かに終わります。

 全曲のYou Tube動画です(楽譜付き)
 

第2楽章 アンダンテ・モルト・センプリーチェ
ヴァイオリンに呈示される主題は、民謡風で親しみやすそうですが調性感が定まらず不安な感じ、素朴そうに見えて何か企んでいるようです。
3つの楽器が繊細に絡み合い、霧の中をあてもなくさまようような雰囲気が不穏で素晴らしい。
12:37から中間部、弦楽器の波のような音型の上でピアノがちょっと明るい旋律を歌います。
メロディは弦楽器に移り、複雑精妙な対位法を駆使して展開されます。
15:19、ヴァイオリンに最初の主題が戻ってきますが、すぐに楽章を閉じます。
第3部が極端に短い三部形式です。

第3楽章 アレグロ・ヴィゴローソ
ロンド形式っぽい自由なソナタ形式(?)のフィナーレ。
ラヴェル、バルトーク、ヴォーン・ウィリアムズなどの影響が感じられますが、それらを上手く煮込んで消化したレベッカ・クラーク独自の世界。
楽章全体に漂うシニカルでドライなユーモアも魅力的
活発で陽気なイントロ的な部分があってから、16:33秒から第一主題(ロンド主題)、田舎の陽気な踊りって感じです。
16:55〜第二主題、これまた民族舞踊的な印象のメロディで、ふたつの主題はすぐに融合・合体され展開されます。
18:08からテンポを落とし、メノ・モッソで抒情的なメロディが呈示され、中間部というか展開部に相当する部分に。
しばらく静かで平和な雰囲気が続きますが、19:44、最初のテンポに戻り、20:03から第一主題(ロンド主題)の再現。
20:31、第二主題が再現され、呈示部と同様にふたつの主題は融合。
そして21:22、第1楽章の第一主題が劇的に再現し、ピアノの技巧的なカデンツァをはさんで、この主題がゆっくりしたテンポで陰鬱に展開されます。
24:10からロンド主題が回帰して活発に曲を閉じます。


いや〜、いい曲だった!
20世紀に書かれたピアノ三重奏曲の名曲でしょう、これ。

レベッカ・クラークはいまだに未発表・未出版の曲が多く、その作品の全容はまだ明らかになっていないのだそうです。
すると今後も傑作が発見される可能性が・・・・・・?  ロマンですね。

なお、私が持っているクレメンティ・トリオのCDは廃盤であり、現在手に入りやすいピアノ三重奏曲のCDは下記のものになります。





(2022.06.05.)


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