フィリップ・リーヴ/廃墟都市の復活(2006)
(安野玲・訳 創元推理文庫 2018)

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ヘスターが沙漠に消えて以来、抜け殻のようになってしまったトム。
彼は飛行商人として訪れたある街で、故郷ロンドンの古い知人を見かける。
慌てて声をかけたが相手は人違いだという。間違いないはずなのになぜ?
何かが隠されていると確信したトムは、娘レンを伴い廃墟と化したロンドンを目指す。
見捨てられた地で彼らを待つものは。

波乱万丈・疾風怒濤・興奮必至の完結編!


フィリップ・リーヴ「移動都市」シリーズ・第4部にして完結編が、やっと翻訳されました!

 「廃墟都市の復活」

第3部「水上都市の秘宝」の翻訳本が出たのが2010年ですから、たっぷり8年ぶり。
第4部の原書は2006年に出たのに、ずっと翻訳されてなかったのです (売れなかったんでしょうねえ)。

しかし、シリーズ第1作「移動都市 Mortal Engines」がアメリカで映画化され、2019年3月に日本でも公開されることになり状況が一変。
第4部が翻訳されるとともに、絶版になっていた第1部から第3部も再版されました、めでたい!

 

 

映画、面白そうですね〜。
この大作を実写で映画化するとは、さすがハリウッド!
ジブリでアニメ化したらいいなと思ってたんですが。
移動都市のビジュアルは「ハウルの動く城」みたいだし、飛行機乗りも出てくるし、「ラピュタ」っぽい雰囲気もあるし・・・。

それはそうと原作小説、待望の完結編です。
しかし8年ぶりですからね〜。
勇んで読み始めたものの、どの登場人物も「えーと、あなた誰でしたっけ? どこでお会いしましたっけ?」状態。
3日前の夕食すら忘れる私にこれはミッション・インポシブル、やむなく第1作から読み返すハメに。

そしたらまあアナタこれが面白いのなんの。
自分の記憶力の衰えにうすら寒いものを感じながら、初めて読む小説みたいにハラハラドキドキしながら第3部まで一気読みしました。
満を侍して第4部へ。

 ・・・サイコーでした!!

例によってストーリーは波乱万丈・紆余変転・起伏山盛・戦闘上等のめまぐるしさ。
もうちょっと手綱を緩めてくださってもと思いながらページをめくるも、次から次へ息つぐ暇なく押し寄せる怒涛の展開。
過去の登場人物が意外なところでひょっこり顔をだし「おひさ!」と言いたくなったり、
以前からの伏線がしっかり立ち上がってきて「こういうことだったのか」と目を見開いたり。
ま、例によって人はたくさん死にますが。

拡大・錯綜・暴走気味のストーリー、でもラストでしっかりまとまります、文句なしです。
最後にストーカー・ファンがオーディンを使ってやろうとしていたことが、完全に間違っているとは言い切れない怖さ・・・。
こんな大風呂敷、よくも綺麗に畳めるもんだと作者の手腕に開いた口がふさがりません。

 ・・・そして感動のエピローグ。

なんですかこの時を超越した、あざといまでの麗しい終わり方は。 思わず泣いてまうやないですか。
諸行無常、万物流転、色即是空、空即是色・・・・・なんだか仏教的な悟りに至ってしまいそう。
このエピローグで本作は、単純なエンターテインメント小説の枠組みを超えてしまいました。

主人公はやはりトムとへスターでしょうが、他の登場人物もみな魅力的でキャラが立っています。
アナ・ファン、サスヤ、フィッシュケーキ、ペニーロイヤル教授、オイノーネ・ゼロ、セオ・ンゴニ、レン・ナッツワーシー、そしてシュライク、みな愛おしい。
親しい友人になったような気がします(あまりお近づきになりたくない人も多いけど)。

超弩級の傑作です。
とにかく読め! 絶対面白いから! と声を大にして申し上げる次第です。

(2018.12.23.)


フィリップ・リーヴ「移動都市」シリーズ
移動都市(第1部)・掠奪都市の黄金(第2部)
氷上都市の秘宝(第3部)



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