フィリップ・リーヴ/
移動都市
(2001)&掠奪都市の黄金(2003)
(創元SF文庫)

移動都市 掠奪都市の黄金


<ストーリー>
「60分戦争」で文明が荒廃した未来。
各都市は都市淘汰主義にのっとり、移動しながら狩ったり狩られたりを繰り返していた。
移動都市ロンドンの史学士見習いトム・ナッツワーシーは、
顔に傷痕をもつ謎の少女ヘスターの襲撃から、史学ギルド長サディアス・ヴァレンタインを助けるが、
なぜかそのヴァレンタインの手でロンドンの外へ突き落とされてしまう。
荒れ果てた地表に取り残されたトムの運命は・・・?


このたび長女(中2)が、吹奏楽部の部長に任命されました。
普段から声も態度もひと一倍大きいところが見込まれたのでしょうか(?)
クラリネットのパートリーダーも兼任で、大変そう。
でも本人は、

 「ワターシは、吹奏楽部ゼンタイを見なくてはナラナイ身。
  クラリネットパートだけにかまってはイラレナーイ!」

と、ドラマ「のだめカンタービレ」シュトレーゼマンの真似で遊んでます(・・・わかります?)
のだめゴッコでストレス解消。かわいいものです。

さて、ストレスといえば先日読んだこの小説、ストレス解消にもってこいの面白さでした。


 フィリップ・リーヴ/移動都市(2001)&掠奪都市の黄金(2003)


最初は、「都市が動く」 というのをイメージするのがちょっと難しかったです。
ロンドンなどの都市自体に車輪がついていて建物や住民ごと移動、
小さく弱い都市を襲っては略奪を繰り返すという、なんだか殺伐とした世界。
ただ、作者の筆致は軽く滑らか、エンタテインメントとして深く考えずに読むが吉かと。

主人公トム・ナッツワーシーは、ギルド長サディアス・ヴァレンタインを助けたのに、何故かロンドンから突き落とされてしまいます。
トムはヴァレンタインを付け狙う謎の少女ヘスターに救われ、行動を共に。
このヘスター、顔にみにくい傷痕があり、ヒロインとしては珍しい設定かも。
数々の修羅場をかいくぐってきた戦闘少女ヘスターと、世間知らずで純朴な少年トムは、時に協力し、時に反発しながら、ともに成長してゆきます。

オールド・テクが作り上げた最終兵器をめぐる争いに巻き込まれるふたり。
息つく暇もないジェットコースター・ストーリー、「ナウシカ」「ラピュタ」などの冒険系宮崎アニメにインディ・ジョーンズを足したようなノリ。

主人公コンビのほかにも、二人を助ける黒髪の女飛行機乗りアナ・ファンや、ヴァレンタインの美しい娘キャサリンなど、魅力的な人物がたくさん登場。
キャラクター造形も、物語のプロットも素晴らしく、悲劇的なクライマックスと希望を感じさせるラストまで一気読みです。

冷静に考えると、ちょっと人が死にすぎかなあ、という気もしないではないですが、まあエンタテインメントとして深く考えずに読むが吉かと。

続編「掠奪都市の黄金」では、舞台は移動都市アンカレジに移り、アンカレジ辺境伯の美少女フレイア・ラスムッセン、
インチキ学者ニムロッド・ペニーロイヤル教授など新しいキャラクターがたくさん登場、面白さにもさらに磨きが。
ストーリーは「ご都合主義」といえばそのとおりですが、とにかくエンタテインメントとして深く考えずに読むが吉かと(←しつこい)

フィリップ・リーヴ「移動都市」シリーズ、全4作で完結だそうです。
残る2作の翻訳が待ち遠しいです。

(08.9.8.)


「本の感想小屋」へ

「整理戸棚」へ

「更新履歴」へ

HOMEへ