フィリップ・リーヴ/氷上都市の秘宝(2005)
(安野玲・訳 創元SF文庫 2010年)



Amazon.co.jp : 氷上都市の秘宝 (創元SF文庫)

<ストーリー>
「60分戦争」で文明が荒廃、各都市は都市淘汰主義にのっとり、移動しながら狩ったり狩られたりを繰り返している。
「略奪都市の黄金」の冒険から16年。
トム・ナッツワーシーヘスターは、氷上都市アンカレジで15歳の娘レンとともに静かに暮らしていた。
平穏な日常に物足りなさを感じていたレンは、アンカレジに忍び込んだ盗賊「ロストボーイ」について家を出る。
しかし途中で海賊狩りに会い、水上都市ブライトンにとらわれの身に。
そこではなんと、かつてトムヘスターを裏切ったインチキ探検家ニムロッド・ペニーロイヤルが市長として権勢をふるっていた。


四月も半ばだというのに、今年はなぜかいつまでも寒いです。
日が落ちると、ひときわ寒さが増します。
こんな夜は、温かい風呂に浸かりながらゆっくり文庫本を読むのが良いですねえ。
身体はあったまるし、リラックスできます。
左手だけで本を持って、ページをめくる技にもかなり熟練してまいりました。


さて最近、お風呂で読んだのはこの本。

 フィリップ・リーヴ/氷上都市の秘宝(2005)

「移動都市」「略奪都市の黄金」につづく、「移動都市クロニクル」第3部

いやあ〜、待ちました、やっと出ました。
巧みな設定、魅力的なキャラクター、波乱万丈のストーリー、エンターテインメント小説の鑑と呼びたい大傑作シリーズ!

前作から十数年が経過し、トムとへスターは三十代、十五歳の娘がいます。
しかしその娘レンの家出により平穏な生活は終わりを告げ、ふたたび戦乱の渦に巻き込まれてゆくふたり。
前2作で縦横にはりめぐらされた伏線のいくつかが、あんなところやこんなところでぴたりと収まります。
まあ、ご都合主義といえばご都合主義なんですが、あまりにも見事な手際に出かけた文句も引っ込んじゃいます。

前作で移動都市アンカレジを率いていた美少女辺境伯フレイア・ラスムッセンが三十路の熟女として再登場するのが個人的には超ウレシイ(そこかい)。
そしてクライマックスのブライトン攻防戦、大迫力。
あいかわらず人が死にすぎる感、無きにしもあらずですが、主人公とゆかいな仲間たちは絶対無事なので安心です。

ラストの意外な再会と別離まで、ジェットコースター・ストーリー 一気読みだっ!

いやもう最高に面白いです!


 ・・・欠点はただひとつ。


 まだ完結してないことです。


こんないいところで終わっちゃうなんて、それは殺生というものですっ!
これからいったいどうなるんですかっ!?
第4部・完結編を早く、早く出してくだせえ〜〜!!


あ、早くと言えば・・・・
「お父さん、風呂長すぎ、早く出ろ〜!!」
・・・家族に怒られてしまいました。

(10.4.15.)


フィリップ・リーヴ「移動都市」シリーズの記事
移動都市(第1部)・掠奪都市の黄金(第2部)
廃墟都市の復活(第4部)


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