ブラスコ・デ・ネブラ/ピアノ・ソナタ全集(全3集)
(ペドロ・カザルス:ピアノ)
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スパニッシュ・アダージョの精華!
奥歯の詰め物が欠けてしまいました。
口の中にぽっかりと穴が開いたような気分です(←「気分」じゃなくて「現実」だよ)。
20年ほど前に詰めたものなので、寿命なんでしょうけれど。
すぐに治療すべきだったのですが、出張やら通常業務やら宴会やら面倒くさいやらで2週間ほど歯科に行けませんでした。
やっと先日受診したら、欠けたところにしっかり虫歯ができていると言われてショック!
欠けてからは普段以上に熱心に、1日5回くらい歯磨きしていたのに・・・
おまけに歯垢もたくさんあると言われ、少々落ち込みました。
さらにレントゲン写真を見せられて他にも歯根があちこち弱くなっていることを説明され、さらにブルーな気分に。
しばらく通院が必要だそうです。
数年後に入れ歯なんてことにならないためにも、これからは真面目に通います、歯医者さん・・・。
自分で磨くだけでは駄目なのね。
さて、僕の傷ついたガラスのハートを慰めるために本日取り出したのは、
ブラスコ・デ・ネブラ/ピアノ・ソナタ全集
ブラスコ・デ・ネブラ(Blasco de Nebra、1750〜1784)、スペインはセビリヤ生まれの作曲家。
父親がオルガン奏者、おじがサルスエラ作曲家という音楽一家に生まれました。
16歳の時にセビリヤを離れ、マドリッドで音楽活動を開始。
しかし経済的な援助をしてくれたおじが2年後に亡くなり、やむなくセビリヤにUターン。
大聖堂のオルガン奏者として父親の後を引き継ぎましたが、35歳の若さで亡くなりました。
170曲以上の鍵盤楽器用ソナタを書いたそうですが、現存するのは26曲のみ。
ネブラはドメニコ・スカルラッティを尊敬していたそうで、確かによく似ています。
もっとも、カルロス・セイシャスやアントニオ・ソレルと違ってスカルラッティに直接教えを受けたことはありません。
また年齢もモーツァルトより6歳年長なだけ、すでにバロック時代は終わっていました。
なので左右の手が対等に絡み合う対位法よりは、伴奏と旋律がはっきり分かれた古典派風の曲が目立ちます。
しかしなんといってもネブラのソナタの特徴は、そのアダージョにあります。
基本的に「緩徐→急速」(アダージョ→アレグロ)の二楽章構成ですが、アダージョのほうがアレグロより長大で、10分越えもザラなんです。
急速楽章は長くて4〜5分ですから、どうしてもアダージョ楽章の印象が勝ります。
そしてこのアダージョがどれも美しい!
ソナタ第6番から アダージョ
シンプルな響きですがメロディと和声が高度に洗練されていて、10分かかる楽章も冗長さを感じません。
もちろん機知に富んだ急速楽章も魅力的ではありますが、個人的にはアダージョ楽章だけをいつまでも聴いていたいと思うほど。
ソナタ第1番から アダージョ
3枚とも素晴らしいですが、どれか1枚ということなら、第2集がとっつきやすいと思います。
また円熟期の作品を収めた第3集も素晴らしく、10分級のアダージョを持つソナタを4曲連続で堪能できます。
ソナタ第2番から アダージョ
アダージョ・マニアには絶対おすすめの超強力アイテムであります。
じんわり沁みるアダージョに、歯医者さんで折れかけた僕の心もちょっとは立ち直りました。
ついでに虫歯も聴くだけで治るといいんですけど。
(2014.11.23.)