ナルディーニ/6つの弦楽四重奏曲(1782出版)
(エレウシ四重奏団 2012録音)
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モーツァルトのディヴェルティメントの元ネタ?
ピエトロ・ナルディーニ(Pietro Nardini, 1722〜1793)。
古典派時代イタリアのヴァイオリニストで作曲家です。
ハイドンより10年早く生まれ、モーツァルトの2年あとで亡くなっています。
若いころは「悪魔のトリル」で有名なタルティーニに師事、のちにフィレンツェでトスカーナ大公の宮廷楽長となり、そこで一生を終えました。
1770年、モーツァルト父子がフィレンツェを訪れたときには14歳のモーツァルトと共演もしています。
今は無名ですが、18世紀の音楽家としては順調かつ平穏な人生を送った「勝ち組」と言えそうです
(勤め人として、あやかりたいもんです)。
ちなみに大天才モーツァルト、宮廷の職には就けず困窮の末に36歳で亡くなくなるその人生は残念ながら「負け組」と言わざるを得ません、皮肉なものです。
そんなナルディーニの弦楽四重奏曲。
なにげなく聴きはじめたのですが・・・・・・いいですね、これ。
全曲
いかにもイタリアっぽい、のびやかな「うた」がたっぷり詰まっています。
さわやかで屈託がありません、脂っ気のない清楚な音のたたずまい。
風通しのよい響きが心の琴線をよい具合にかき鳴らします。
格調を保ちつつもチャーミングでキリッと明快、素敵じゃないですか。
「でもこれ何かに似てるなあ」と思いながら聴いてたのですが、気づきました。
モーツァルトのディヴェルティメント K.136〜138によく似ているのです!
ナルディーニの住むフィレンツェも含むイタリア旅行から帰ったモーツァルトがザルツブルクで1772年に作曲した弦楽四重奏曲で、K.136の冒頭はとくに有名。
つまりK.136〜138はイタリア様式をモーツァルトが自分なりに消化した成果なのですね(Wikipediaで調べたらちゃんとそう書いてあった)。
ナルディーニの弦楽四重奏曲は形式的にややプリミティブであり、6曲中4曲が2楽章、2曲が3楽章制です。
出版は1782年ですが、作曲年代はもっと古いのかもしれません。
じつはモーツァルト、フィレンツェでナルディーニの弦楽四重奏曲を聴いてたりして・・・知らんけど。
第4番 第2楽章 アレグロ (活気に満ちた明るい曲。モーツァルトの知られざるディヴェルティメントと言われたら信じそう)
↓
なお、ナルディーニはフィレンツェで”Quartetto Toscano”という弦楽四重奏団を組織、これは史上初の常設の四重奏団と言われているそうです。
他のメンバーは、マンフレディーニ、カンビーニ、ボッケリーニ!!
みなひとかどの作曲家じゃないですか、すごいメンバーです、スーパーグループです。
全員の名前が韻を踏んでるところも美しいです。
(2020.05.04.)