アレクサンドル・デュマ/モンテ・クリスト伯(1841〜45)
(山内義雄・訳 岩波文庫  全7巻)

モンテ・クリスト伯〈1〉 モンテ・クリスト伯〈2〉 モンテ・クリスト伯〈3〉

7冊全部の画像をアップする根性ない・・・


<ストーリー>
素朴で明るい船乗りエドモン・ダンテス・19歳。
恋人メルセデスとの結婚式のその日、妬み深い同僚ダングラールと恋敵フェルナンによって謀反人として告発され逮捕される。
無実なのだからすぐに釈放されると自分を慰めるエドモン。
しかし、検事ヴィルフォールは保身と出世のため無実と知りながら彼を牢獄へ幽閉してしまう。
14年後、奇跡的に脱獄に成功したエドモン。
ある方法で巨万の富を手にした彼は、モンテ・クリスト伯と名乗り、正体を隠して裏切り者たちに近づく。


いやー、読みました、ついに読みました。
デュマ「モンテ・クリスト伯」全7巻。

デュマといえば以前、佐藤賢一「褐色の文豪」を取り上げましたが、
白状しますとあの時点ではデュマの作品、一冊もまともに読んでいなかったのです。
「これではいけない」・・・とはべつに思っていませんでしたが、
ふと読み始めたら止まらなくなりました、恐るべしデュマ。

うーむ、確かに現在まで読み継がれているだけのことありますねこれは。
恋愛あり、裏切りあり、殺人あり、波乱万丈の復讐物語。
160年以上前の作品とは思えない面白さでありました。

牢につながれたダンテスの苦しみを1巻まるまる使って克明に描いておいて、
第2巻冒頭でついに前半のクライマックス、大胆な脱獄シーンへ。
手に汗握る緊張、大きなカタルシス、これぞ小説の醍醐味。
読者はここで完全につかまってしまうのですね。
「ああもうどこまでもついていきます!」
と身もだえしながらページをめくるのであります(←変態か)

緻密な復讐計画に基づいて沈着冷静に行動するモンテ・クリスト伯
中盤ではその内面はほとんど描写されませんが、
最初の復讐を成し遂げて「これで一人!」と、つぶやく伯爵に、
「仕事人かー!」と突っ込みながら読みました。

復讐の鬼と化したエドモン=モンテ・クリスト伯ですが、
後半に至り、少しずつ彼の心理も描写されるように。
復讐のむなしさにもまた気づいてゆくモンテ・クリスト伯
自分の復讐が引き起こした新たな不幸に、悩み苦しみます。

しかし最後はハッピーエンド!
この長大な復讐物語を、つじつま合わせてハッピーエンドにもっていくとは、
なんという 強引な 巧みなストーリーテリングの妙、
「ご都合主義」と言いたくなりますが言わせないその力技。
そしてさわやかな読後感。
これこそが人気の秘密とみたっ!(←偉そうに)

凄いよアレクサンドル・デュマ(1802〜1870)(←偉そうだよ)、滅法面白いじゃありませんか。
50年以上も前の翻訳ですが、びっくりするほど読みやすいし。

ちょいと調べてみると、「三銃士」「王妃マルゴ」「王妃の首飾り」など、
ほかにも面白そうな作品がたくさん。
これは読まなければ、読みますとも、全部読みます!
ええ本気です。
本気と書いてマジ運命と書いてさだめ永遠と書いてとわ夫婦と書いてめおと!!
なに言ってるのか自分でもわけわかりませんが、
とにかくこれからガシガシ読むのでありますよ。

アレクサンドル・デュマ、待ってろよ(←だから偉そうだって)

(08.4.13.)



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