今年2011年は、フランツ・リストの生誕200周年であり、
グスタフ・マーラーの没後100周年であり、
うちの次女の生誕15周年であります。
ところで300周年の人はいないかと探してみると、
ウィリアム・ボイス(1711〜1779)とジャン=ジョゼフ・カッサネア・ド・モンドンヴィル(長いな)(1711〜1772)が、ともに生誕300年でした。
ボイスは、以前ちょっとだけ取り上げたことがあるので、今回はジャン=ジョゼフ・カッサネア・ド・モンドンヴィル(だから長いって)を。
さて、モンドノスケじゃなかったモンドンヴィル、どのような人物かといいますと・・・
1711年、南仏の音楽一家に生まれた彼は、すぐれたヴァイオリニストとなり、パリに出て「コンセール・スピリテュエル」で自作を演奏し好評。
1739年、ルイ15世により「王のシャンブルならびにシャペル付き楽団ヴァイオリン奏者」に任じられ、教会音楽の作曲家としても活躍。
1744年には楽団の副楽長に昇進! やったぜ!
さらに幸運にも王の寵姫ポンパドゥール夫人に気に入られます。
1747年のオペラ「バッカスとエリゴーヌ」では、ヴェルサイユ宮殿の「お小部屋劇場」にてポンパドゥール夫人が主役のエリゴーヌを演じ、大成功!
1749年にはバレエ・オペラ「パルナッソスの謝肉祭」が、2ヶ月半の間に35回も上演される大ヒット!
すかさず、この作品を「あなたのために作曲した」と献辞を付けて、ポンパドゥール夫人に献呈するところなんざ、いやあ抜け目ありませんなあ。
1756年には「コンセール・スピリテュエル」の監督にのぼりつめました。
モンドンヴィルの妻アンヌ・ジャンヌ・ブコンは、ラモーの弟子であり、クラヴサンも弾けば作曲もし、絵も描くという才女。
モンドンヴィルの家ではサロンが開かれ、画家のモーリス・カンタン・ド・ラトゥール、作曲家のピエール・ルイ・ダカン、ラモーらが集ったそうです。
・・・要するに才能あるうえに世渡り上手、最高に「うまいことやった」人だったわけですね。
成功の階段を着実に一歩一歩上ってゆく、その見事な手際は、「プレジデント」か「Big Tomorrow」で特集されても良いくらいです。
しかし、現在はほとんど知られていません。
友人のラモーはそこそこ有名なのに、なぜだろう?
さて、代表作の一つである管弦楽のためのソナタ集 作品3 を聴いてみますと・・・。
メロディはさらりと流麗、優雅でありながらかすかな哀愁をたたえ、聴く者の気持ちを心地良く慰めてくれます。
管弦楽のためのソナタ 第2番 第1楽章
管弦楽のためのソナタ 第4番 第1楽章
いやいやどうして、良い曲ぞろいです!
ラモーよりはちょっと上品・・・というか、ラモーからアクを抜いたような音楽といえましょうか。
ラモーは、少々エキゾティックでエキセントリックなところがありますからね。
いわば、「ラモーのサビ抜き」。
モンドンヴィルが忘れられたのは、この「サビ」が意外と大切だってことかもしれません。
それでも、モンドンヴィルの洗練された上品さ、捨てがたいです・・・。
この曲は、もともと「ヴァイオリン伴奏つきクラヴサン・ソナタ集」として作ったものを管弦楽用に編曲したもの。
もとのヴァージョンは、レオンハルトの名録音があります。
(11.5.21.)
モンドンヴィル/ヴァイオリン伴奏つきクラヴサン・ソナタ集より第4番
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